「これ…となりって、うちのことですか?」隣家の退去後、大家さんが持ってきたカレンダーに書かれていた奇妙な文字に背筋が凍った
夜になると聞こえてくる隣家の声
以前、私が住んでいた一戸建ての隣には、子どもの多い家族が暮らしていました。
昼間からにぎやかな家でしたが、特に困っていたのは夜の騒音です。
庭では大人たちがバーベキューをすることが多く、遅い時間まで笑い声や話し声が響いていました。
隣の家には、入れ替わり立ち替わり子どもたちが出入りしていました。
夜になっても声が途切れないことがあります。
翌朝も早い日は、寝室の窓を閉めても聞こえてくる声が気になり、なかなか寝つけませんでした。
ある晩、庭に置いていた植木鉢を片付けていると、塀の向こうにいた隣の奥さんと目が合いました。
「こんばんは。今日も楽しそうですね」
「あら、声、聞こえてた?」
「ええ。夜になると、寝室までけっこう聞こえてきて……」
「そうなのね。子どもたちが喜ぶものだから、ついね」
奥さんは笑顔でしたが、こちらが困っていることまで伝わったのかは分かりませんでした。
その後も騒がしさは続きました。やがて夜遅くのバーベキューはなくなりましたが、誰かが苦情を伝えたのか、理由は分かりません。
それでも、私が寝ようとするころには、相変わらず隣から話し声が聞こえてくる日が続きました。
大家さんが持ってきた不思議なカレンダー
そんな隣の家族が引っ越して、しばらくたったころのことです。
昼間、玄関のチャイムが鳴ったので出てみると、大家さんが立っていました。
隣の家の片付けを終えたところだそうで、手には古いカレンダーを持っています。
「すみません。ちょっと気になるものがあって…」
「何ですか?」
「お隣の台所に残っていたんですが、これを見てもらえますか」
大家さんが開いたカレンダーには、日付ごとに小さな字で時刻が書き込まれていました。
そして、余白には「となりの電気」という文字がありました。
「これ……となりって、うちのことですか?」
「分からないんです。ただ、毎日時間が書いてあるので、気になってしまって」
私はもう一度、カレンダーを見ました。
書かれていたのは、どれも夜遅い時間です。しかも、私が普段、寝室の電気を消すころと重なっていました。
「私、だいたいこの時間に寝るんです……」
「そうなんですか……」
「もしかして、電気が消えた時間を記録してたってことですか?」
「そうかもしれません。でも、そこまでは分からなくて……」
もちろん、過去の消灯時刻を一日ずつ正確に覚えているわけではありません。
それでも、何日分も並んだ時刻を見ているうちに、背筋が冷たくなりました。
「これ、何のために書いていたんでしょうね……」
「それが、私にもさっぱり……」
「引っ越すとき、何か言っていましたか?」
「いいえ。普通に挨拶されただけでしたよ」
大家さんも、それ以上の事情は知らないようでした。
隣の家族が引っ越してから、夜はすっかり静かになりました。以前のように、寝室まで話し声が聞こえてくることもありません。
けれど、あのカレンダーに書かれた「となりの電気」という文字が、どうしても忘れられません。
もし本当に我が家の消灯時間を記録していたのだとしたら、何のためにそんなことをしていたのでしょうか。
結局、理由は分からないままです。
今でも寝室の電気を消すとき、あのカレンダーを思い出します。そして、もしかしたら毎晩、誰かがこの窓を見ていたのかもしれないと思うと、ぞっとするのです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














