「若いんだから動いて当然よ」私ばかりに手伝いをさせる義母。だが、夫の「妻ばかりに頼むのはおかしくない?」の一言で状況が一変
義母の口癖と座ったまま動かない人たち
義実家へ行くたびに、義母には決まった口癖がありました。
お茶の時間、夕飯の支度、来客の応対。
何かが始まる気配がしてくると、決まってこちらに笑顔を向けて、こう言うのです。
「若いんだから動いて当然よ~」
言われた私は、はい、と答えて立ち上がる。
それが何年も続く、義実家の決まりごとでした。
不思議だったのは、リビングのソファに座っている人たちです。夫も、私より三つ年上の義兄の奥さんも、誰ひとり腰を上げない。
義兄の奥さんは「若い人がやるのよ」と笑って、自分の湯飲みを差し出してくる。
義母は当然のように、私だけを呼ぶのです。
「台所お願いね」
お盆も、正月も、お彼岸も。お茶も、煮物も、配膳も、食後の片付けも。
義実家にいる時間のほとんどを、私はガス台の前か、流しの前で過ごしてきました。
表向きは笑って動いていても、帰り道の車で夫の横顔を見るたび、胸の奥にじわじわと冷たいものが広がっていく。
それでも嫁という立場で文句が言えず、ただ口をつぐんでやり過ごしてきたのです。
腰を痛めた日に変わった義実家の空気
去年のお盆、私はぎっくり腰を引きずって義実家へ向かいました。
湿布の匂いが背中から漂う中、玄関で挨拶をするより早く、いつもの一声がリビングから飛んできたのです。
「台所お願いね」
その瞬間、私は背筋を伸ばして、ゆっくりと首を横に振りました。
「ごめんなさい、今日は無理です」
義母の顔から笑みが消え、口元がぴくりと動きました。義兄の奥さんは慌てて視線を手元のお茶に落とし、義父はテレビの音量を下げる。
リビングの空気がぐっと重くなった、そのときでした。私の横にいた夫が、ふだんからは想像できないほど穏やかな声で、けれどはっきりと口を開いたのです。
「母さん、いつも妻ばかりに頼むのはおかしくない?」
義母は反論しかけて、その言葉を飲み込みました。
結婚以来、夫の口から義母への異議が出たのは、たぶんこの日が初めてだったのです。
私はうつむいたまま、湿布越しの腰を手で押さえていました。
あれ以来、義母の「若いんだから動いて当然よ~」も「台所お願いね」も、ぴたりと聞こえなくなりました。
義兄の奥さんが鍋の前に立ち、義母は皿を運び、夫が湯飲みを並べる。当たり前のはずの光景がようやく訪れた義実家のキッチンで、私は心の底から肩の力を抜くことができたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














