「俺、他にも何人かと気軽に会ってるよ」マッチングアプリで出会った男。だが、男が明かした事実に別れを決意した
ワイン片手の夜に滲んだ本音
数年前、マッチングアプリで知り合った男性と、ゆっくり距離を縮めていた時期がありました。
物腰はやわらかく、こちらの話を遮らず最後まで聞いてくれる人。
会うたびに小さな安心感が積み重なっていく感覚があり、気づけば数か月、定期的に食事を共にする間柄になっていたんです。
その夜は、駅から少し離れた静かな店でした。私の恋愛観に話題が移ったタイミングで、相手はワイングラスを揺らしながら、ふっと軽い調子でこう言いました。
「俺、他にも何人かと気軽に会ってるよ」
冗談だと思って聞き返したとき、続けて出てきた言葉に手が止まりました。
今もアプリで知り合った複数の女性と、同じ温度感で会い続けているのだと。最初からそうやって距離を保つのが自分のやり方なのだと、口元には小さな笑みすら浮かんでいたんです。
それが、私には一番引っかかった部分でした。
グラスを置いて告げた一線
穏やかな印象は、自分の都合を最優先にする姿勢の裏返しだったのかもしれません。
気づいた瞬間、これまで重ねてきた数か月の時間が急に薄っぺらく感じられて、頬の内側がすうっと冷えていきました。
その場で声を荒げることはしませんでした。けれど、曖昧に頷いて場を流すこともしたくない。
私はグラスを静かにテーブルに置き、息を一つ整えてから、相手の目を見て伝えました。
「都合のいい存在になるつもりはありません」
続けて、自分の言葉でこう付け加えました。時間を大切にしたいので、これで失礼しますと。
これまで穏やかに振る舞ってきた女性が、急に距離を取り始めたのが意外だったのでしょう。相手は何か言いかけて口を閉じ、また開きかけて、最後まで反論の言葉を出せないままでした。
会計を分け、店を出てひとりで駅に向かう道の途中、ふっと肩の力が抜けました。曖昧な期待にしがみつかず、はっきり線を引けたこと。それだけで、自分自身を粗末にしないで済んだ気がしたんです。
翌週には、共通で使っていたアプリの登録を解除し、相手の連絡先も静かに整理しました。
後日、相手からは短いメッセージも届きましたが、自分の流儀を並べ立てるだけで、こちらに向き合おうとする姿勢は見えません。返信せず、そのまま関係を区切りました。
同じ穏やかさでも、相手を尊重する穏やかさと、自分を守るための穏やかさはまったく違う。あの夜、迷わずグラスを置けた感覚は、今でも自分の中の小さな指針として残っています。
誰かに合わせて温度を下げ続けるより、自分の物差しで関係を選び直すほうがずっと健やかだ。そう実感できた一件でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














