tend Editorial Team

2026.06.06(Sat)

「去年、お兄さん結婚したわよ」兄の結婚をなぜか教えてくれなかった家族。だが、兄から届いたメッセージに納得いかなかったワケ

「去年、お兄さん結婚したわよ」兄の結婚をなぜか教えてくれなかった家族。だが、兄から届いたメッセージに納得いかなかったワケ

省かれていた、という感覚

実家に帰るたびに、なんとなく場の温度が違うと感じていた。

それがはっきりした形になったのは、ある帰省の夜だった。

夕食の最中に母が「去年、お兄さん結婚したわよ」と口にした。

さらりとした言い方だったが、父も兄も当然のように黙っていた。

3人はもう知っていた。私だけが知らなかった。

驚きよりも、静かな確認に近い感覚があった。

そういうことが、この家ではずっとそうだったのだと。

兄の大きな決断が私に知らされたのは終わった後で、お祝いを言うタイミングも式に出るタイミングも、最初からなかった。

母は後日「バタバタしてて」と笑ったが、なぜ私だけが知らせてもらえなかったのかという疑問には、誰も答えてくれなかった。

(私は家族の中で、少し外に置かれているのかもしれない)

その感覚は帰省から戻っても続いた。理由を問い詰める気にもなれなかったし、聞いたところで「そんなつもりじゃなかった」と言われるだろうと予感していた。

それが悲しいより、疲れるような感じがした。この家の中での自分の位置が、少しずつ輪郭を持ち始めていた。

「助けてほしい」と届いたメッセージ

それから数年後、父が入院することになった。

兄から連絡が来た。

「いろいろ頼みたい」「動いてもらえると助かる」とも書かれていた。

久しぶりにまとまった文章だった。

父のためにできることはしようと、塗り絵のセットと色鉛筆を手配して送った。

見舞いにも何度か出向いたし、病院への問い合わせも引き受けた。

父のことを心配する気持ちは本物だったし、父のために動くこと自体はよかったと思っている。

でも、兄のメッセージを読み返すたびに、あの夜の食卓が浮かんだ。省かれていたときは何も言ってこなかった。

助けが必要になったときだけ声がかかる。母もそのことを当然のように思っているらしかった。

頼まれたことには応えた。だからといって、何かが解決したわけではなかった。動くたびに、腑に落ちないものが少しずつ積み上がった。「感謝された」という感覚よりも「使われた」という感覚の方が先に来た。

許せたかと問われれば、許せていない。兄への怒りというよりも、ずっと続いてきた家族のあり方への、静かで重いモヤモヤだった。あれは兄だけの話ではなく、この家がずっとそういう形だったのだということが、時間が経つほどよくわかる。

その形を変える術も、今は持っていない。それはまだ、どこにも向かっていない。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.09.07(Mon)

「多い日は1日に30件くらい来ています」寮の先輩から届き続けたメッセージ。相談後に決まった対応とは
tend Editorial Team

NEW 2026.09.07(Mon)

「今度、お茶でもどうですか?」診察で気さくに話しかけてきた女性。だが、お茶の席で始まった話に違和感とは
tend Editorial Team

NEW 2026.09.07(Mon)

「どこから来たの?」半年間ベランダに落ち続けたお菓子の袋。だが、大家さんに相談して分かった原因
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.04.03(Fri)

「私の家系の方が格上」と私の実家を見下す義母。だが、実母の反撃に言葉を失った
tend Editorial Team

2026.01.23(Fri)

「メリットもある代わりに色んな弊害もある」「大いに賛成」と賛否両論。俳優・伊原剛志「総理は国民投票で選べるようにして欲し...
tend Editorial Team

2026.04.22(Wed)

「最終的に全体の事実報道があればよい」「他に伝えるべき事がある」と賛同の声続出。池上彰氏、京都男児遺棄事件の報道姿勢に苦...
tend Editorial Team