tend Editorial Team

2026.05.24(Sun)

「私、妊娠したの!」友人からの報告。だが、私が心から祝福出来なかったワケ

「私、妊娠したの!」友人からの報告。だが、私が心から祝福出来なかったワケ

彼女の幸せを前に立ち止まった

「私、妊娠したの!」

妊活を続けながら、友人の報告を受けた。

その友人には、病院に通って治療していることを話していた。

治療が長引いていること、先が読めないこと、体にも心にも負担がかかっていることも。

結婚してすぐに妊娠したと聞いた時、最初は素直におめでとうと思った。

でも、日が経つにつれて、じわじわと胸の中に何かが積もっていった。

友人の妊娠を知って以来、周囲の空気が変わった。

集まりでは彼女が中心になり、誰もが気を遣い、荷物を持ち、先に座らせた。

友人の家でのバーベキューにも呼ばれたが、準備は全員でこなし、彼女だけが椅子にいた。おかしいとは思わない。

でも、胸の中がざわついた。その輪の外で笑っている自分が、少しずつ透明になっていくような気がした。

「男の子だったの!」

そう笑いながらエコー写真を差し出してきた瞬間だった。

妊活3年目に入っていることは、その友人にも話していた。

悪気はなかったのだと思う。だからこそ、そこに込み上げてきた苦しさをどこにもぶつけられなかった。

祝福できなかったわけではない。でも、祝福と苦しさが同時に押し寄せてきて、どちらの感情が本物かわからなくなった。

笑顔を返しながら、心がついていかなかった。集まりを抜けて駅に向かう帰り道、誰もいない場所まで歩いて初めて、涙がこぼれた。

気づいたのは、自分への不安だった

しばらくの間、友人といる時間が重かった。

距離を置くかもしれないと、頭の片隅で考えた。

それが怖かった。長い時間をかけて築いた関係が、こんな気持ちのせいで変わってしまうかもしれない。そう思うと、自分が嫌になった。

友人が悪いことは一度も思わなかった。それでも、隣にいると自分が削られていく感覚があって、しばらくは連絡の頻度が落ちた。

友人は気づいていたかもしれないし、気づいていなかったかもしれない。そのあたりのことは、今も確かめていない。

 

その後、私も妊娠できた。

あの日から少し時間がかかったが、ようやくだった。

あの感情を振り返ると、嫉妬だけではなかったと気づく。

「自分だけが立ち止まったまま、世界が動いていく」という孤立への恐怖だった。

友人の幸せそのものが怖かったのではなく、その先で自分が一人になることが怖かった。

同じ立場にならないと見えてこない気持ちが、確かにある。

誰かの幸せが別の誰かを苦しめることもある、という現実を、あの時はじめて自分のこととして受け取った。あのモヤモヤは解消したわけではなく、今も胸のどこかにある。ただ、自分が感じたことを否定しなくなった。それだけで、少し楽になれた気がしている。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.24(Mon)

「これ、まけろよ!」カラオケ店で酔っ払って値引きを迫る客。だが、私が最後まで変えなかった主張
tend Editorial Team

NEW 2026.08.24(Mon)

「また始まったね、練習」近所の子供の響く打球音。だが、突如打球音が聞こえなくなったワケ
tend Editorial Team

NEW 2026.08.24(Mon)

「その業者はやめろ、うちで決めるから」家を建てる話まで決められていた私たち。だが、初めて断った瞬間
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.10.29(Wed)

「この店、常連だから覚えられてるよ」得意げに話す男。実はクレーム常習客だと認識されていた【短編小説】
tend Editorial Team

2026.04.06(Mon)

「国は現実が見えてない」「この制度はやっぱしやりすぎ!」と共感の声相次ぐ。カズレーザーが自転車「青切符」制度の課題を指摘
tend Editorial Team

2026.06.06(Sat)

「嫌いでしょうがなかった」太川陽介の蛭子能収への本音から考える、人間関係での距離感と多様性の受け入れ方
tend Editorial Team