妻「ちょっと、子どもは?」→「俺、見てないけど?」子ども放置で音楽に没頭する夫。だが、他のパパの大声で顔を真っ赤に
突然のスマホタイム
娘が幼稚園に通っていた頃の話だ。よく晴れた週末、ママ友の家族と連れ立って、近所の大きな公園へ遊びに行った。
子ども二人はジャングルジムに登りたがり、高くて危ないので、見守りはパパ同士でお願いね、と決めていた。
私とママ友は、近くのベンチでのんびり話し込んでいた。
「最近、お父さんたち子育てに協力的でいいよね」
そんな話で笑い合っていた、そのときだった。ふと視線を上げると、夫がいない。
探すと、植え込みのそばでイヤホンを耳に差し込み、ひとりで音楽に没頭していたのだ。
「ちょっと、子どもは?」
近づいて肩を叩くと、夫はけろりとした顔で言った。
「俺、見てないけど?」
「あっちのお父さんがいるでしょ。二人ともなんとかなるって」
悪びれもしないその答えに、私は言葉を失った。ママ友夫婦も「えっ」という表情で、その場の空気がさっと気まずくなる。
子どもの安全より、自分の時間を優先したのが、誰の目にも明らかだった。
振り向いた親たち
ジャングルジムの上では、ママ友の旦那さんが、たったひとりで二人の子を支えていた。さすがに手が足りず、夫に向かって声を張り上げる。
「お父さーん!二人だと見きれないので、お願いします!」
夫はまた音楽に戻ろうとしていて、その声に気づかない。
旦那さんは、もう一段大きな声でもう一度呼んだ。
「お父さん! 落ちたら危ないんで!」
その大声に、周りで遊んでいた親たちが、いっせいに振り向いた。
視線の先には、ひとりイヤホンをつけた夫がいる。
ようやく状況を察した夫の顔が、みるみる真っ赤になった。慌ててイヤホンを引き抜き、駆け寄っていく。
「すみません、ぼーっとしてました。本当にすみません」
「いえ、無事なら大丈夫ですよ」
ママ友の旦那さんは穏やかに言ったが、周りの親たちの視線はまだ夫に残っていた。あれだけ我関せずだったのに、頭を下げる姿は別人のようだ。
それからは子どもの隣にぴたりと張りつき、ジャングルジムの一段ごとに手を添えている。立場が、すっかり入れ替わっていた。
帰りの車で、私は責める代わりに、ひとつだけ聞いてみた。
「さっきの自分、よその人からどう見えたと思う?」
夫はしばらく黙って、それから小さく答えた。
「……かっこ悪かったよな」
ようやく、自分がどう見られていたのかに思い至ったらしい。
それきり、夫が公園で音楽に逃げ込むことはなくなった。次に出かけたときは、誰よりも先に子どもの手を取り、ジャングルジムの下にしっかりと立っていた。
あの日、視線を集めた側から、子どもを守る側へ。立つ場所が、ちゃんと変わったのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














