妻「借金やめるって、言ったよね」→「事情があるんだよ」と出産祝いと合わせて212万円使い込んだ夫→別居した時の夫の態度とは
届いた一通の封筒
その封筒は、夫が郵便受けから慌てて抜き取ろうとしたところを、たまたま私が先に手にした。
差出人は、消費者金融。
「これ、何の封筒?」
「……開けるな。なんでもないから」
奪い返そうとする手を避けて封を切ると、そこには借金の催促が記されていた。
問い詰めると、夫の口から出たのは200万という数字だった。
妊娠中に貯金120万を使い込まれたのは、つい先月のこと。
あのとき夫は「もうやめる」と誓ったはずだった。
「借金やめるって、言ったよね」
「ああ、やめるって言っただろ」
「今は、ちょっとした事情があるんだよ」
言い訳が、するすると出てくる。その滑らかさが、かえって怖かった。
空っぽのご祝儀袋
嫌な予感がして、私は引き出しの奥から、生まれてくる子への出産祝いの袋を取り出した。中を確かめた瞬間、指先が冷たくなった。
合計12万円。
お祝いのお金まで、一円残らず消えていた。
「この子のお金まで、抜いたの」
「返す。絶対に返すから」
「貯金も借金も、全部そう言って、何も返ってきてないよ」
「今回は違う。本気で立て直すから」
「立て直すお金が、もう一円も家に残ってないの」
夫は何も言えず、ただ視線を床に落とした。
かつての私なら、ここで泣き崩れていただろう。でも、お腹の子が、そうさせなかった。
その夜のうちに、私は通帳の引き出し履歴、借金の証書、空のご祝儀袋を、一つずつ写真に残した。
記録は、何よりも強い。涙ではなく、証拠を集めた。
翌朝、私はその写真を実家と義実家の両方に送った。事実だけを、淡々と。やがて義父母から返ってきたのは「これは庇えない。あなたとお腹の子を第一に」という言葉だった。
線を引いた日
私は別居を選んだ。
子どもと自分の生活を守るために、夫と家計の線を引いたのだ。
給与の振込先を変え、お金の出入りを夫から分けた。
これ以上、勝手に手をつけられない仕組みを、自分で作り上げた。
後日、夫が玄関先で頭を下げた。
「やり直そう。今度こそ本気だ」
「返してから話そう。それまで、この子と私のお金には、二度と触らせない」
「冷たいじゃないか。夫婦だろ」
「夫婦のお金を、黙って使ったのはどっち」
夫は反論しようとして、言葉に詰まった。あれだけ軽く「やめる」と繰り返していた人が、私の落ち着いた声に、ただ立ち尽くすしかなかった。
お金は、まだ一円も戻っていない。それでも構わない。守るべきものを守り抜いたとき、私は自分が思っていたよりずっと強いと気づいた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














