「オードブル用意するって言ったでしょ」運動会で意見の合わない義母。だが、夫の嘘がバレた結果
各自で用意、のはずが
姪の運動会を控えた夜、夫がこともなげに言った。
「昼ご飯は各自で好きなもの用意するらしいから」
私はその言葉を信じて、翌朝早くから台所に立った。夫と娘の分、それに義実家のみんなの分も少し。重箱に隙間なくおかずを詰めて、運動会へ向かった。
けれど会場に着いて、私は固まった。シートの真ん中に、注文したらしい立派なオードブルが広げてあったのだ。皿の数も、品数も、私の重箱とは比べものにならない。
義母がこちらに歩いてきて、私の重箱を見るなり言った。
「オードブル用意するって言ったでしょ」
言葉につまった。聞いていない。本当に、一度も聞いていなかった。
逃げた夫
「なんでお弁当持ってきたの?」
義母にそう重ねられ、私は助けを求めて夫を見た。あなたが各自で用意すると言ったのだと、ただ一言、言ってほしかった。
「俺も知らない」
夫はあっさりそう言うと、オードブルの皿に手を伸ばした。私の重箱には目もくれず、料理を口に運んでいる。
「弁当、食べれば?」
娘と私にそう言いながら、自分は豪勢な料理を味わっている。手作りの重箱は、ついに蓋が開かないまま、シートの端に追いやられていた。みんなの前で恥をかかされ、私はただ膝の上で手を握っていた。
沈黙を破ったのは、近くにいた姪だった。
「おじちゃん、オードブルをやっぱり注文するって伝えてないんでしょ?」
夜に届いた謝罪
姪の何気ない一言に、夫の動きが止まった。義母が息子をじっと見る。
「あんた、伝え忘れたんでしょう」
夫はうろたえて、言い訳を探すように口を動かした。けれど何も出てこない。やがて観念したように、小さくうなずいた。
義母は私に向き直り、ばつが悪そうに頭を下げた。
「ごめんなさいね、勝手に決めつけて」
そして重箱に目をやると、表情をやわらげた。親戚たちもつられて箸を伸ばし、「おいしい」と笑ってくれる。私のおかずは、ちゃんと食卓の真ん中に戻っていた。
その夜、一口も食べられなかった弁当を、娘が喜んで平らげてくれた。
「ママのお弁当が、わたしいちばん好き」
その言葉に、こらえていたものがあふれた。私は娘を抱きしめた。そこへ、台所にいた夫がそっと近づいてきた。
「今日は、悪かった。ちゃんと伝えてなかった俺が全部悪い」
うつむいて謝る夫に、私は短く答えた。
「次からは、ちゃんと言ってね」
謝罪の言葉を引き出せて、わだかまりが少しほどけた。娘の優しさと夫の一言で、今日という日は、ようやくおさまったのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














