tend Editorial Team

2026.06.25(Thu)

「早く顔を見せてちょうだい。初孫なんだから」と催促する義母→私がどうしても連れて行きたくなかった理由とは

「早く顔を見せてちょうだい。初孫なんだから」と催促する義母→私がどうしても連れて行きたくなかった理由とは

初孫を待つ義母

子どもが生まれてから、義母の電話は急に増えた。

「早く顔を見せてちょうだい。初孫なんだから」

声は弾んでいた。心待ちにしてくれているのは、痛いほど伝わってくる。それでも私は、すぐに「はい」とは答えられなかった。

夫の実家には、どうしても連れて行けない理由があったからだ。

外で飼っている犬を、夜はそのまま家の中に上げて放し飼いにしている。

台所まわりも整っているとは言いがたく、出される食器も気になることが多かった。生まれたばかりの子を、その環境に置くことは私にはできなかった。

結婚してからずっと、その家に通うたびに私は身を硬くしていた。料理を残すのも申し訳なくて、無理をして口に運ぶ。

帰り道、夫にだけは正直な気持ちをこぼしていた。

「気にしすぎかもしれないけど、どうしても落ち着かないの」

夫は私を責めなかった。むしろ、自分の実家のことなのにと、申し訳なさそうにしていた。

変わらない実家

夫は、私の気持ちを汲んで実家に何度も掛け合ってくれた。

「犬だけでも、子どもが来るときは別にできない?」

「あら、この子だって家族なのよ。今さらかわいそうじゃない」

義母にそう返されると、話はそこで止まってしまう。改善される気配はないまま、月日だけが過ぎていった。

そのうち、訪問の足は自然と遠のいた。

「無理して連れて行って、もし何かあったら」

夫にそう打ち明けると、彼は静かにうなずいた。守りたい気持ちは、二人とも同じだった。

その間も、催促の電話は止まらなかった。

「孫を一度も連れてこないなんて」

受話器の向こうで、義母の声が湿っていた。初孫を抱けない寂しさは、きっと本物だ。

それでも、私は譲れなかった。いつまでも夫の後ろに隠れて、夫に言わせ続けるのも違う気がした。

線を引いた日

次に義母から電話が来たとき、私は自分で受話器を取った。

「家に犬が放し飼いでは無理です」

はっきりそう告げると、義母は息を呑んだ。

「……だって、ずっとこうしてきたのよ」

「ずっとそうでも、この子にとっては初めての場所です。守れるのは私だけなので」

義母はしばらく黙り込み、それから何度か言葉を探すように口を開いては、やめた。最後は小さな声で「……わかったわ」とだけ言った。電話を切ったあと、私の手はまだ少し震えていた。

その日を境に、無理な打診はぴたりと止まった。代わりに、会うときは外の店や公園で、と私から提案するようにした。義母もそれには素直に応じてくれる。

嫌われる覚悟で言った一言だったけれど、引いた線は思いのほか、互いを楽にしてくれた。あの食卓で身を硬くしていた頃の自分には、もう戻らなくていい。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.05(Mon)

「えー、かわいい!これ着る!」買い物に失敗したと思った母。数年後、娘を見て笑った理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「昨日のは、なんていう曲?」隣のお風呂の歌声を気にしていた私。だが、ママ友の一言で固まった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「Mなら余裕だよ」とサイズ表を見なかった私。だが、届いたジャケットを長男が着て分かった勘違い
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.05.29(Fri)

「あなたの好物知っているのよ」一度も話していない好物を覚えていた義母。気を使いすぎた私が抱えたジレンマ
tend Editorial Team

2026.04.03(Fri)

「あのコーヒーカップも片付けておいて」入社から3年、理不尽な雑用を押し付ける先輩。エスカレートする雑用の日々を救ったのは
tend Editorial Team

2026.07.14(Tue)

「もう一杯いこう!」深夜まで騒ぐ隣家の週末BBQ→一本の苦情で午後10時前にぴたりと止んだ
tend Editorial Team