「うちは余裕ないから」一周忌の受付で治療費をたかる義姉。だが、夫の一喝で空気が一変
受付での大声
義父の一周忌の法事の、受付でのことでした。
記帳を済ませようとした私の横で、義姉が私のスーツをじろじろと眺めていました。
そして、まわりに人がいるのもおかまいなしの大声で、こう言い放ったのです。
「うちは余裕ないから」
何の話かと戸惑う私に、服をジロジロ見ながら義姉は畳みかけました。
「あら、そんなにお金があるなら、まだ払ってない治療費の未払い分、全部そっちで払ってよね」
新調した黒のスーツのことを言っているのだと、ようやく気づきました。
義母から「恥ずかしくない恰好をしてね」と念を押され、義父をきちんと送りたくて用意した一着です。
前の晩、丁寧にブラシをかけ、しわひとつないよう吊るしておきました。
義父はおだやかな人で、私を実の娘のようにかわいがってくれた人です。
その人の一周忌に、せめてきちんとした姿で立ちたい。
ただそれだけの気持ちでした。それを、たかりの口実にされたのでした。
病室を知らない人
言葉が出ませんでした。
義父が入院していた一年あまり、義姉は一度も病院に来なかった人です。
付き添いも費用の工面も、私と夫が背負ってきました。
それを承知で、この場で口にしたのです。
受付の親戚たちが、気まずそうに目を伏せます。
そのとき、私の前に夫が割って入りました。
「お前闘病中、一度でも顔見せたか」
静かな、けれど芯のある声でした。
義姉の笑みが、その一言で消えていきます。
「一年だぞ。一回でも病室に来たなら、その口で金の話をしろ」
夫が見据えると、義姉は「だって…」と言いかけたきり、後が続きません。さっきの勢いは跡形もなくなっていました。
縁を切った日
その場にいた親戚の一人が「あなた、ほんとに一度も来なかったわよね」とぽつりと言い、ほかの人も静かにうなずきました。
さっきまで義姉の大声に気圧されていた受付が、潮が引くように静まっていきます。形勢が変わったのが、はっきりと見えました。
義姉は顔を真っ赤にして、何か言い返そうとしましたが、声になりません。
やがて私から目をそらすと、人の輪の奥へと足早に消えていきました。あれだけ大きかった声は、最後まで戻ってきませんでした。
「行こう。親父が待ってる」
夫にそう促され、私は乱れた気持ちを整えながら式場へ向かいました。
義父をきちんと見送りたい、その思いだけは、誰にも踏みにじらせたくなかったのです。
あの日から、義姉とは絶縁状態が続いています。連絡が来ても応じることはありません。受付で背を向けたあの後ろ姿が、私たちの出した結論でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














