tend Editorial Team

2026.07.24(Fri)

「うちは余裕ないから」一周忌の受付で治療費をたかる義姉。だが、夫の一喝で空気が一変

「うちは余裕ないから」一周忌の受付で治療費をたかる義姉。だが、夫の一喝で空気が一変

受付での大声

義父の一周忌の法事の、受付でのことでした。

記帳を済ませようとした私の横で、義姉が私のスーツをじろじろと眺めていました。

そして、まわりに人がいるのもおかまいなしの大声で、こう言い放ったのです。

「うちは余裕ないから」

何の話かと戸惑う私に、服をジロジロ見ながら義姉は畳みかけました。

「あら、そんなにお金があるなら、まだ払ってない治療費の未払い分、全部そっちで払ってよね」

新調した黒のスーツのことを言っているのだと、ようやく気づきました。

義母から「恥ずかしくない恰好をしてね」と念を押され、義父をきちんと送りたくて用意した一着です。

前の晩、丁寧にブラシをかけ、しわひとつないよう吊るしておきました。

義父はおだやかな人で、私を実の娘のようにかわいがってくれた人です。

その人の一周忌に、せめてきちんとした姿で立ちたい。

ただそれだけの気持ちでした。それを、たかりの口実にされたのでした。

病室を知らない人

言葉が出ませんでした。

義父が入院していた一年あまり、義姉は一度も病院に来なかった人です。

付き添いも費用の工面も、私と夫が背負ってきました。

それを承知で、この場で口にしたのです。

受付の親戚たちが、気まずそうに目を伏せます。

そのとき、私の前に夫が割って入りました。

「お前闘病中、一度でも顔見せたか」

静かな、けれど芯のある声でした。

義姉の笑みが、その一言で消えていきます。

「一年だぞ。一回でも病室に来たなら、その口で金の話をしろ」

夫が見据えると、義姉は「だって…」と言いかけたきり、後が続きません。さっきの勢いは跡形もなくなっていました。

縁を切った日

その場にいた親戚の一人が「あなた、ほんとに一度も来なかったわよね」とぽつりと言い、ほかの人も静かにうなずきました。

さっきまで義姉の大声に気圧されていた受付が、潮が引くように静まっていきます。形勢が変わったのが、はっきりと見えました。

義姉は顔を真っ赤にして、何か言い返そうとしましたが、声になりません。

やがて私から目をそらすと、人の輪の奥へと足早に消えていきました。あれだけ大きかった声は、最後まで戻ってきませんでした。

「行こう。親父が待ってる」

夫にそう促され、私は乱れた気持ちを整えながら式場へ向かいました。

義父をきちんと見送りたい、その思いだけは、誰にも踏みにじらせたくなかったのです。

あの日から、義姉とは絶縁状態が続いています。連絡が来ても応じることはありません。受付で背を向けたあの後ろ姿が、私たちの出した結論でした。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.13(Thu)

「傘立てには入れたくない」濡れた傘を店内の床に置いた客→客が置きたくない理由と店員の対応とは
tend Editorial Team

NEW 2026.08.13(Thu)

【埼玉・川越】岩盤浴込みで平日1,000円!天然温泉も1日楽しめる『小江戸温泉KASHIBA』がお得すぎる
tend Editorial Team

NEW 2026.08.13(Thu)

「おなかすいた。パン食べたい」レジでぐずる子供と困る母親。だが、店員の対応に救われた瞬間
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.02.22(Sun)

給付付き税額控除の踏み絵で排除か。参政党と共産党が猛反発する自民党主導国民会議の不透明すぎる選別基準と民主主義の危機
tend Editorial Team

2026.01.05(Mon)

「お前、もう40だろ?結婚は?」としつこい親戚たち。だが、私の正論をうけ空気が一変【短編小説】
tend Editorial Team

2026.01.09(Fri)

「被害者は救われない」「晒す権利は誰にもない」と賛否両論。ばんばんざい・ぎし、県立高での暴行疑い動画に苦言
tend Editorial Team