「ちょっと待って、その人だれ」彼の浮気の瞬間、だが、振り返った彼の一言に言葉を失った
人混みの中で見つけた、知らない女性との横顔
付き合って半年ほど経った休日のことでした。
友達と二人でショッピングモールを歩いていた私の目に、人混みの向こうから来る彼氏の姿が飛び込んできたのです。
でも、隣には知らない女性がぴたりと寄り添って歩いていました。
二人の親密な空気は、ただの知り合い同士にはとても見えませんでした。
彼はこちらに気づくと、視線をすっと外して通り過ぎようとしました。
私は反射的に足を止め、その背中に向かって声をかけたのです。
「ちょっと待って、その人だれ」
振り返った彼の表情には、慌てた様子も後ろめたさも一切ありませんでした。
それどころか、口元には薄ら笑いさえ浮かんでいたのです。
「久しぶり」
彼の口から出たのは、その一言だけでした。
恋人にかける言葉ではなく、たまたま街で再会した知人に向けるような、あまりにも軽い挨拶だったのです。
隣の女性が不思議そうに彼を見上げるその横で、私はようやく気づきました。
私は彼にとって恋人ですらなく、数いる遊び相手の一人にすぎなかったのだと。
彼はそれ以上何も言わず、女性を促してそのまま雑踏に消えていきました。
引き止めることも責めることもできず、私はただその後ろ姿を見送るしかなかったのです。隣で固まる友達が、心配そうに私の腕にそっと触れていました。
幸せな今も、ふと胸に戻ってくる違和感
その場では言葉が出てきませんでした。それでも諦めきれなくて、私は帰宅してから数時間後、思い切って彼に電話をかけたのです。
何かの間違いだと言ってほしかった。
けれど受話器の向こうから返ってきたのは、突き放すような冷たい声でした。
「なんの用?」
その言葉だけで、私が用意していた言葉はすべて行き場をなくしました。問いただす隙も与えられず、彼はそっけなく通話を終わらせてしまったのです。
それから私は、しばらく食事が喉を通らなくなりました。
気づけば体重は数キロ落ちていて、夜になると天井を見つめながら、あの薄ら笑いばかりを思い出していたものです。
長い年月が流れ、今の私は誠実な男性と結婚し、穏やかで満ち足りた毎日を送っています。
あの頃の痛みは、もうとっくに過去のものになったはずでした。
それなのに、買い物中にふと混み合った通路に立つと、あの日の光景が静かによみがえることがあるのです。
焦りもせず笑っていた彼の横顔と、軽すぎた「久しぶり」。
幸せな今でさえ消えてくれないこの小さな澱だけは、何年経っても忘れられないまま、私の胸の奥にそっと居座り続けているのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














