「1日に何度もインターホンが鳴るの」距離感が近すぎる下の階の住人。何度もなるインターホンに感じた本音
二軒だけの賃貸
結婚する前、私はある賃貸で一人暮らしをしていました。大家さんの家の隣に建つ、上と下で一軒ずつ、二軒しかない小さな建物です。
入居を決めた理由は、女性限定という条件でした。世帯数も少なく、女性しか住まないのなら安心だと、当時の私は考えていたのです。
住み始めてからしばらくは、何ごともない静かな毎日でした。階下も空いていて、夜は物音ひとつしない、そんな暮らしだったのを覚えています。
越してきた住人
ある日、仕事から戻ると、ずっと空いていた階下に人の気配がありました。年配の男性が越してきたのだと、あとで知ったのです。
女性限定のはずではと引っかかりましたが、あえて気にしないことにしました。
はじめは、すれ違いざまに軽く会釈をする程度でした。ところがある日、帰宅した直後にインターホンが鳴り、出張の土産だと大きなおせんべいの箱を渡されたのです。
ちょうど帰ってきたところを見ていたかのような間合いに、少しだけ引っかかりを覚えました。
受け取ったものの、なんとなく口にする気になれませんでした。結局その箱は、翌日そのまま職場へ持っていってしまったのです。
何度も鳴る呼び鈴
気になりはじめたのは、家で仕事をする日が増えてからでした。私が部屋にいる日にかぎって、玄関の呼び鈴が鳴るのです。
しかも、一度きりでは終わりませんでした。昼に一度、夕方にもう一度と、在宅の日ほど呼ばれる回数が増えていったのです。
「1日に何度もインターホンが鳴るの」
友人に打ち明けたとき、私は思わずそう口にしていました。
用件はいつも土産だったり、ちょっとした世間話だったりと、ささいなものです。
それでも、私が家にいるのをどうして分かるのだろうと思うと、落ち着きませんでした。
声を荒らげられたわけでも、無理に押し入られたわけでもありません。
だからこそ、はっきり嫌だと言うきっかけも、つかめないままでした。
ただ、外に出た気配や帰ってきた物音を、階下からそっとうかがわれているようで、日ごとに落ち着かなくなっていったのです。
やがて私は引っ越しを決め、その建物を離れました。今でも玄関のチャイムが鳴るたび、あの日ごとに増えていった呼び鈴の音を、ふと思い出してしまうのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














