「もう少しだけ静かにしてもらえる?」満員電車で騒いでいた8人の若者グループ。だが、次の駅で取った行動とは
年始の車内で、声が一角に集まっていた
年始の混んだ電車に乗ったのは、午後の遅い時間でした。
買い物袋を提げた人や、大きな荷物を足元に置いた人で、通路まで人が立っています。私は入口の脇に立ち、手すりにつかまっていました。
途中の駅から、若い人たちのグループが乗ってきました。全部で8人です。
全員が入口付近に固まったまま話し始め、奥には少し空間があるのに、なかなか動きません。駅に着くたび、降りる人が「すみません、通ります」と声をかけながら、その間を抜けていきました。
そのうち一人がスマートフォンを持ち上げました。
「待って、全員入ってない」
「え、ほんと?もう一回撮ろう」
ほかの子たちも笑いながら画面の前に寄っていきます。
「もうちょいこっち来て」
「いや、狭いって」
楽しそうなのは分かるのですが、声がかなり響いていました。
混んだ車内で、その一角だけが別の場所のようです。
私は何度か、声をかけたほうがいいのではと思いました。
けれど、8人のグループに一人で注意するのはやはりためらわれます。結局、何も言えないまま次の駅が近づいてきました。
「ごめん、もう少しだけ静かにしてもらえる?」
そのとき、少し離れたところに立っていた年上の男性が、グループのほうへ声をかけました。
「ごめん。もう少しだけ静かにしてもらえる?」
笑い声が止まり、何人かが振り返りました。
「あ…すみません」
一人が小さく答え、スマートフォンを下ろしました。
しばらくは静かになったのですが、写真を見始めると、また少しずつ声が大きくなっていきました。
「これ、変じゃない?」
「えー、こっちのほうがよくない?」
すると男性が、もう一度だけ口を開きました。
「ごめんね。人も多いから、もうちょっとだけお願い」
怒っているというより、困っているような声でした。
今度は、スマートフォンを持っていた子がすぐに手を下ろしました。
「…私たち、結構うるさかったかな」
隣にいた子が周りを見て、少し声を落としました。
「たぶん。ていうか、ここに固まってるのも邪魔かも」
その言葉で、何人かが入口のほうを見ました。駅に着くたび、自分たちの間を人が通っていたことにも気づいたようでした。
「次で一回降りよ。一本待とう」
「うん。そのほうがいいかも」
「みんなもそれでいい?」
「いいよ」
短いやり取りが輪の中に広がり、8人はそれぞれ荷物を持ち直しました。
次の駅で扉が開くと、まず降りる人を通し、そのあと8人もホームへ出ていきました。
最後に降りた子が少しだけ振り返り、男性に頭を下げました。
「すみませんでした」
男性は一瞬驚いたような顔をしてから、
「いや、大丈夫、大丈夫」
と軽く手を上げました。
扉が閉まると、車内には走行音だけが戻ってきました。
男性は何事もなかったように吊り革を持ち直しています。
私の隣に立っていた年配の女性が、閉まった扉のほうを見ながらぽつりと言いました。
「ちゃんと分かってくれたみたいね」
私は思わず、
「そうですね」
と返しました。
注意された瞬間は気まずそうにしていた8人も、周囲を見れば、自分たちが大きな声を出し、入口をふさいでいたことは分かったのでしょう。
言い争いになることもなく、最後にはきちんと謝って降りていった。その姿が、静かになった車内の様子と一緒に、今も少し印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














