「他人の子は乗せたくない」雨の日、娘を車に乗せてくれなかったママ友。だが、私の一言で態度が一変
お互いさまのはずだった
うちの地域は、学校まで子どもの足で40分という田舎だ。
雨や雪の日に歩かせるのは、正直しのびない。
娘には保育園からの仲良しがいて、その子の家もすぐ近所だった。
だから雨の日は、私の車で二人を一緒に送り迎えするのが習わしになっていた。
8年近く、晴れの日は二人で歩き、降る日は私が車を出す。それで回っていたのだ。
運転席から後ろを見れば、二人が並んで笑っている。その光景が好きで、少しくらいの手間は苦にならなかった。
「困ったときはお互いさまだから」
私はずっと、本気でそう思っていた。だからこそ、自分が出られない日のことは、何の不安もなく相手に任せられると考えていたのだ。
娘だけが濡れて帰った
その日は、私がどうしても迎えに行けなかった。代わりに相手のお母さんが車で学校へ来てくれる。そう聞いて、私は何も心配していなかった。
けれど帰宅した娘は、髪も服もぐっしょり濡れていた。胸騒ぎがして、わけを尋ねた。
「あの子のママ、私だけ乗せてくれなかった」
自分の子だけを車に乗せ、すぐ隣に立っていた娘を残して発車した、というのだ。私は思わず受話器を取った。
「他人の子は乗せたくない」
電話口で、相手はあっさりそう言い放った。悪びれもしない口ぶりに、私の中の何かが冷たく固まった。
事実だけを置いた
感情で怒鳴っても仕方ない。私は事実を、静かにひとつ置いた。
「うちは8年乗せてましたよね?」
その瞬間、相手は黙り込んだ。雨の日も体調の悪い日も、私はずっとあの子を乗せてきた。それを、相手自身がいちばんよく知っていたはずだ。
「……それとこれとは」
声はみるみる勢いを失い、やがて続かなくなった。一方的に差し出してきた事実の前では、どんな言い分も立たなかった。
あの雨の日、娘がどんな気持ちで歩いて帰ったか。それを思うと、もう以前のように笑って車を出す気にはなれなかった。
この話は、ほかのお母さんたちにも自然と伝わった。
「ずっと乗せてもらってたのに、それはないよね」という声が、あちこちから聞こえてきたという。
送迎の輪の中で、相手は誰とも目を合わせられず、小さくなって挨拶するようになった。
「これからは、うちはうちで動くね」
私はそう告げて、その子の送り迎えからは手を引いた。一方通行の親切は、もう続けない。線を引いた途端、長く抱えていたわだかまりが、ふっと軽くなった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














