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2026.08.05(Wed)

「本人が使わないだけだから」92歳の叔母に携帯を渡した家族。だが、兄がその場で電話をかけた結果

「本人が使わないだけだから」92歳の叔母に携帯を渡した家族。だが、兄がその場で電話をかけた結果

同じ家にいても、ほとんど話さない

92歳になる父の姉は、五年前に一人息子を亡くしました。

現在は、息子の妻と30歳になる孫娘との三人暮らしです。

以前から生活時間が合わず、叔母だけ別の部屋で食事を取ることが多かったそうです。

息子が亡くなってからは、家族との会話もさらに減っていました。

心配した私の母が、息子の妻に叔母の様子を尋ねたことがあります。

「食事は毎日、部屋まで持っていっています。十分でしょう」

確かに食事は用意されていました。

しかし、それ以外はほとんど別々の生活だったようです。

その後、亡くなった息子の名義になっていた固定電話が解約されました。

息子の妻と孫娘はそれぞれ携帯電話を持っているため、固定電話は必要ないと判断したそうです。

けれど、携帯電話を持っていない叔母にとっては、親戚へ連絡するための唯一の手段でした。

兄が貸した一台

事情を知った私の兄は、以前使っていた携帯電話を叔母に貸しました。

兄の番号を短縮ボタンに登録し、押す場所には目印のシールを貼りました。

「ここを長く押せば、僕につながるからね」

兄が何度か一緒に練習すると、叔母も一人で電話をかけられるようになりました。

それから叔母は、週に何度か兄へ電話をかけるようになりました。

話すのは、庭の花や天気、その日に食べたものなど、何げないことばかりです。

それでも兄は、叔母の声を聞けば元気にしていることが分かると、毎回電話に付き合っていました。

このことを知った息子の妻と孫娘は、叔母のために高齢者向けの携帯電話を購入しました。

「うちでも、ちゃんと携帯を用意しましたから」

息子の妻からそう聞き、兄もひとまず安心したそうです。

鳴らなかった携帯電話

それから数か月後、叔母の誕生日に親族が集まりました。

近況を話していると、息子の妻が叔母の携帯電話について触れました。

「食事も用意しているし、何かあったときのために携帯も持たせています」

すると兄が、叔母に尋ねました。

「新しい携帯、使えるようになった?」

叔母は困ったように首を横に振りました。

「どこを押したらいいか分からないから、使ってないよ」

息子の妻は、すぐに口を挟みました。

「でも、ちゃんと渡してあります。本人が使わないだけだから」

その言葉を聞いた兄は、静かに携帯電話を取り出しました。

「では今、叔母さんの携帯に電話してみてください」

息子の妻も孫娘も動きません。

二人とも、叔母の携帯電話の番号を登録していなかったのです。

兄が契約時の書類を確認して番号を入力し、電話をかけてみました。しかし、叔母の携帯電話は鳴りません。

棚の上に置かれていた端末を確認すると、充電が切れていました。連絡先も一件も登録されておらず、発信履歴もありません。

「これでは、何かあっても誰にも電話できませんよ」

兄がそう言うと、息子の妻は気まずそうに答えました。

「買ったときに、簡単には説明したんだけど……」

「一度説明しただけで使えると思うのは無理があります。買って棚に置くことと、使えるようにすることは違いますよ」

兄の言葉に、息子の妻も孫娘も黙り込みました。

「持たせた」では終わらせない

兄はその場で携帯電話を充電し、親族の連絡先を登録しました。

よく電話する相手には短縮番号を設定し、叔母と一緒に何度も操作を練習しました。

さらに、充電が切れていないか定期的に確認するよう、孫娘にも頼みました。

それまで「携帯を持たせている」と話していた手前、二人も断ることはできませんでした。

翌朝、兄のもとに叔母の新しい携帯電話から着信がありました。

「今度の電話から、ちゃんとかけられたよ」

叔母のうれしそうな声を聞き、兄もようやく安心したそうです。

携帯電話も食事も、用意しただけで相手を支えたことにはなりません。

本人が本当に使えているのか、困っていないかまで確かめることが大切なのだと、家族も認めざるを得なかった出来事です。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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