「妻だけにやらせるのは大変だろ」親戚の集まりで妻に押し付ける義母。だが、夫の一言が空気を変えた瞬間
帰省するたび、妻だけが台所へ
盆や正月になると、僕は妻と一緒に実家へ帰省していました。
親戚が集まる日は、母が中心になって食事を用意します。しかし、配膳や洗い物を頼まれるのは、決まって僕の妻でした。
「悪いけど、お皿を並べてくれる?」
「食べ終わった鍋も、先に洗っておいてね」
母はそう言いながら、次々と仕事を言いつけます。
僕が立ち上がって手伝おうとすると、母はすぐに止めました。
「あなたは座っていなさい。男の人まで台所に入らなくていいの」
「でも、妻だけにやらせるのは大変だろ」
そう言っても、母は「昔からそういうものだから」と笑って流します。
兄の妻には小さな子どもがいたため、母が休ませようとするのは理解できました。しかし、その分まで僕の妻が引き受けるのが当然という態度には、次第に疑問を感じるようになりました。
妻は人前で不満を口にする性格ではありません。
「大丈夫だよ。年に何度かのことだし」
帰りの車でそう言っていましたが、長時間水仕事をした手は赤くなり、表情にも疲れがにじんでいました。
僕は妻の言葉に甘え、もっと早く母に伝えなかったことを後悔しました。
「妻も座って食べるから」
次の正月も、親戚十人ほどが実家に集まりました。
食事が終わると、母はいつものように妻へ声をかけました。
「そろそろお皿を下げてもらえる?鍋も水につけておいて」
妻が立ち上がろうとしたため、僕は先に食器を持って台所へ向かいました。
「今日は僕がやるよ。妻もまだ食べ終わっていないから」
母は驚いた顔をします。
「そんなことしなくていいの。片付けはお嫁さんに任せればいいでしょ」
その言葉を聞き、僕は食器を置いて母に向き直りました。
「妻は手伝いに来たわけじゃないよ。僕と同じように、親戚に会いに来ているんだ」
座敷にいた親戚たちの会話が、少しずつ静かになりました。
「今まで妻にばかり頼みすぎていたと思う。これからは、食べた人が少しずつ片付けよう」
母はすぐには納得しませんでした。
「私は別に、意地悪で頼んでいるわけじゃないわよ」
「それは分かってる。でも、負担が偏っていることは変わらないよ」
すると兄が、自分の前にある皿を持って立ち上がりました。
「確かに、いつも任せきりだったな。俺も運ぶよ」
父も空いた瓶やコップを集め始めます。
母は困ったような顔をしていましたが、それ以上は何も言いませんでした。
その日は、僕と兄が洗い物をし、父が食卓を片付けました。妻と兄の妻には、子どもたちと一緒に座っていてもらいました。
母の考え方が、その日だけですべて変わったわけではありません。
次の帰省でも、母が無意識に妻だけへ頼みそうになる場面はありました。
そのたびに僕が「みんなでやろう」と声をかけ、最初から役割を分けるようにしました。
やがて母も、僕や兄に自然と食器を渡すようになりました。
帰り道、妻はほっとした表情で言いました。
「ちゃんと言ってくれて、ありがとう。今までより、ずっと居やすかった」
妻が我慢してくれているから問題ないのではなく、我慢させないように動くべきだったのだと思います。
家族の中で長く続いてきた習慣ほど、誰かが声を上げなければ変わりません。僕にとっては、それをようやく実感した出来事でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














