「割り込まないでください」混雑したレジ。だが、順番を抜かした客が明かした小さな悩みとは
列に入った人を見ても、すぐには声をかけられなかった
夕方の売り場は、どのレジにも人が並んでいました。特売の日で通路にはワゴンが出ていて、列も途中で折れています。
私もかごを持って並んでいましたが、少し離れた場所に、列を探すように立っている人がいることに気づきました。
その人はしばらく周囲を見たあと、前のほうへ進み、並んでいる人たちの途中に入りました。前にいた人が振り返りましたが、何も言いません。
私も「割り込まないでください」と言おうか迷いました。
ただ、強く注意したように聞こえたら嫌だと思い、声をかけられずにいました。
すると、その人が周囲を見ながら小さな声で言いました。
「レジの列がどこから始まるのか、分からなくて」
そこで初めて、割り込むつもりではなく、本当に最後尾が分からなかったのだと気づきました。
私はその人のほうを向き、できるだけ普通の調子で伝えました。
「レジはこちらが最後尾です、私の後ろにどうぞ」
その人は「ああ、こちらでしたか」と言って、すぐに私の後ろへ移りました。
それだけのやり取りでした。言う前はずいぶん迷っていたのに、終わってみればほんの数秒です。
少し後ろでも、同じような声が聞こえた
列が少し進んだころ、また別の人が離れた場所で立ち止まっていました。
今度は、私の後ろに並んだ先ほどの人が先に声をかけました。
「こちらが最後尾ですよ」
そう言いながら、自分の後ろを示すように少し体をずらします。相手もすぐに気づき、その後ろへ並びました。
さらにしばらくすると、列の後ろのほうからも「最後尾はこちらです」と声が聞こえてきました。
誰かが注意したわけでも、仕切り始めたわけでもありません。ただ、列が分かりにくい人に、その都度近くの人が場所を知らせているだけでした。
会計を終えて店を出てから、私は最初に声をかけるまで迷っていたことを思い返しました。
相手を責める言い方をしなくても、必要なことだけを伝えればよかったのです。
それ以来、同じように列の場所が分からず困っている人を見かけると、以前ほど言い方に迷わなくなりました。「こちらが最後尾ですよ」と伝えるだけで済むこともある。あの日の出来事で、そんなことに気づきました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














