「まだ着いていませんよね」旅行先で目的地の3キロ手前に降ろされた男性。フロントで分かった勘違いとは
ホテルが手配した車だと思って乗り込んだ
旅行先の街で、その日の午後だけ車を使うことにした。ホテルのフロントに手配を頼み、しばらくロビーで待っていると、「玄関に車が来ています」と声をかけられた。
外には一台の車が停まっていた。私は当然、ホテルが呼んでくれた車だと思い、そのまま乗り込んだ。
行き先を伝えると、運転手は大きくうなずいた。ところが十分ほど走ったところで音楽を切り、急に料金の話を始めた。
「この時間は、みんな多めに出してくれるんだ」
「メーターに出たぶんは払います」
「それでは少ない。倍でいい」
冗談かと思ったが、運転手の表情は変わらなかった。
さらに気になったのは道だった。同じ広場の前を二度通り、目的地へ近づいているようには見えない。地図を開いて現在地を確認しようとすると、その直後に車が停まった。
運転手は前方を指さした。
「あそこだ。歩けばすぐだ」
地図を見ると、目的地まではまだ3キロほどある。
「まだ着いていませんよね」
「この先は渋滞だ。歩いたほうが早い」
これ以上車内で言い合うのも怖くなり、私は言われた料金を払って降りた。
荷物をトランクから出すと、車はすぐに走り去った。
フロントで話すと、ホテル側も驚いた
ホテルへ戻ったのは夜だった。
フロントの男性から「今日はどうでしたか」と聞かれ、私は昼の出来事を順番に話した。
料金を何度も上乗せするよう求められたこと。遠回りしているように見えたこと。
そして、目的地の3キロほど手前で降ろされたこと。
男性は車の特徴や乗った時間を確認したあと、少し表情を曇らせた。
「申し訳ありません。昼の車は、こちらが手配した車ではなかったようです」
私は思わず聞き返した。
「この車、ホテルが呼んだものじゃなかったんですか」
ホテルが手配した車が到着する直前、別の車が玄関前に停まり、スタッフも手配車だと思って案内してしまったらしい。
「こちらの確認不足でした。本当に申し訳ありません」
男性はそう頭を下げた。
そして翌日も車を使う予定だと伝えると、「今度は車と運転手をこちらで確認してからご案内します」と言ってくれた。
翌朝、玄関には前日とは別の車が停まっていた。フロントの男性も外まで出てきて、運転手と短く確認をしてから私を案内した。
運転手は自分の名前を名乗り、行き先を復唱してから発進した。混雑している場所では迂回する理由を説明し、目的地の入口まできちんと送ってくれた。
それ以降、移動が必要なときはホテルを通して同じ運転手をお願いした。
最終日の朝も、その車が迎えに来た。フロントの男性は玄関まで出てきて、荷物がトランクに入るのを見届けていた。
「よい滞在になりましたか」
私は少し考えてから答えた。
「最初は驚きましたけど、そのあとは安心して移動できました」
旅先では、目の前に来た車だからといって、必ずしも自分のために手配された車とは限らない。その経験以来、乗り込む前に一度確認するようになった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














