「最初のドレスのほうがよかったんじゃないか」披露宴で酔った親族が放った一言。続けて飛び出した言葉に他の親族が動いた
三杯目を空けたあとに、飛んできた声
披露宴の中盤だった。私は新婦の友人として出席していて、新郎側の親族席とは通路を挟んだ向かいに座っていた。
その席の端にいた男性は、乾杯のころからよく飲んでいた。
こちらから見える位置だったので、料理を食べながら何度かグラスを空にしているのが目に入った。
最初の乾杯を含めて三杯ほど飲んだころには、男性の顔はかなり赤くなっていた。
やがて照明が落ち、お色直しを終えた新婦が会場へ戻ってきた。あちこちで拍手が起こり、カメラを構える人もいる。
そのときだった。
「最初のドレスのほうがよかったんじゃないか」
周囲の拍手に負けない大きな声だった。近くの席にいた何人かが、一斉に男性のほうを見る。
新婦も一瞬だけそちらへ視線を向けたが、そのまま笑顔で歩いていった。
私は友人として楽しい一日にしてほしかっただけに、聞かなかったことにするには少しきつい言葉だと感じた。
ところが男性は、さらに続けた。
「結婚したらもっと太るぞ」
自分では冗談のつもりだったのか、男性は笑っている。
けれど同じテーブルの人たちは誰も笑わなかった。
男性は空になったグラスを置くと、テーブルにあった瓶へ手を伸ばした。
横から伸びた手が、瓶を引き取った
その直後、横から別の手が伸びた。
少し離れた親族席から来た年配の女性が、男性より先に瓶を取り上げたのだ。
「もう飲むのやめなさい」
男性は不満そうな顔をした。
「まだ酔ってないぞ」
「声が大きいの。向こうの席まで聞こえてるから」
女性が通路の向こうを軽く示したので、男性もこちらの席を見た。何人かと目が合ったらしく、それまでの笑顔が消えた。
後から新婦に聞いたところ、その女性は新郎の伯母だったそうだ。
伯母は男性の前にあった水のグラスを指し、「今日はもうそれにしなさい」とだけ言って、瓶を持って自分の席へ戻っていった。
男性はしばらく何も言わず、水を一口飲んだ。
その後、男性が酒を求めることはなく、こちらまで届くような大きな声も聞こえてこなかった。
少しして、新婦から両親への手紙が始まった。会場が静かになるなか、先ほどまでのざわつきもすっかり消えていた。
結婚式だからといって、飲んで何を言っても笑ってもらえるわけではない。祝いの席だからこそ、周囲への気遣いは必要なのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














