「80万円を使ったの?」100万円の結納金に手をつけた彼。しかし、義両親が補填しても取り戻せなかったのは
厚みだけはあった封筒
結婚の準備をしていたころ、結納金として100万円を彼の父が用意してくれることになっていました。
彼から「父から預かってるよ」と聞いていたので、私はその言葉を信じていました。
ところが、なかなか封筒を見せてもらえません。式の打ち合わせが進んでも、その話だけは曖昧なままでした。
「ねえ、預かってるお金、一度確認しておきたいんだけど」
「大丈夫。ちゃんとあるから」
「じゃあ、今日見せてくれる?」
「今日はちょっと…また今度でいい?」
そんなやり取りが何度か続いたある晩、ようやく彼が封筒を机に置きました。
「遅くなってごめん。これ」
封筒にはそれなりの厚みがありました。彼はそれだけ言うと、風呂へ向かいました。
私は封を開け、一枚ずつ数えました。
途中で手が止まり、もう一度最初から数え直しました。それでも20万円しかありません。
風呂から出てきた彼に、封筒を差し出しました。
「これ、20万円しか入ってないよ。残りは?」
彼は黙ったまま、私と封筒を交互に見ました。
「……ごめん。もう20万円しかない。詐欺にあったんだ」
「え?どういうこと?」
「相手に振り込んだ。あとからおかしいって気づいたけど、もう連絡がつかなくて…」
「その80万円を?」
「うん」
「でも、それってあなたのお金じゃないよね」
彼はうつむいたまま、何も言いませんでした。
怒りより先に、頭の中が真っ白になりました。父親から預かったお金に、私に何も言わず手をつけていた。そのことのほうが、80万円という金額以上に重く感じました。
彼の両親が持ってきた80万円
その週末、彼の両親が家に来ました。
彼の父は座るとすぐ、白い封筒を机の上に置きました。
「本当に申し訳ない。なくなった80万円は、こちらで補わせてください」
「でも、お二人が使ったわけじゃないですし…」
そう返すと、彼の父は首を振りました。
「もともと私が息子に100万円を預けたんです。あなたに渡るはずだった金額だけは、きちんとそろえさせてください」
彼の母も、「こんなことになって、本当にごめんなさいね」と頭を下げました。
言われるまま封筒を確認すると、きちんと80万円入っていました。
彼の父は、隣で黙っている彼に向かって言いました。
「騙されたことも問題だけど、預かった金を勝手に使ったことは別の話だぞ」
「……うん。わかってる」
彼の返事を聞いても、私は何も言えませんでした。
足りなかった80万円は戻りました。数字だけなら、これで100万円です。
けれど、その日から私は彼の「大丈夫」という言葉を、そのまま信じられなくなりました。予定も、お金のことも、自分で確認する癖がつきました。
この一件だけが理由ではありません。それでも、ここでできた小さな亀裂は、その後も消えませんでした。
数年後、私たちは離婚しました。
元義母からは今でも年に一度、短い便りが届きます。あの夜を思い出すたび、失ったのは80万円ではなく、相手の言葉を疑わずに受け取れていた自分だったのだと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














