tend Editorial Team

2026.09.15(Tue)

「80万円を使ったの?」100万円の結納金に手をつけた彼。しかし、義両親が補填しても取り戻せなかったのは

「80万円を使ったの?」100万円の結納金に手をつけた彼。しかし、義両親が補填しても取り戻せなかったのは

厚みだけはあった封筒

結婚の準備をしていたころ、結納金として100万円を彼の父が用意してくれることになっていました。

彼から「父から預かってるよ」と聞いていたので、私はその言葉を信じていました。

ところが、なかなか封筒を見せてもらえません。式の打ち合わせが進んでも、その話だけは曖昧なままでした。

「ねえ、預かってるお金、一度確認しておきたいんだけど」

「大丈夫。ちゃんとあるから」

「じゃあ、今日見せてくれる?」

「今日はちょっと…また今度でいい?」

そんなやり取りが何度か続いたある晩、ようやく彼が封筒を机に置きました。

「遅くなってごめん。これ」

封筒にはそれなりの厚みがありました。彼はそれだけ言うと、風呂へ向かいました。

私は封を開け、一枚ずつ数えました。

途中で手が止まり、もう一度最初から数え直しました。それでも20万円しかありません。

風呂から出てきた彼に、封筒を差し出しました。

「これ、20万円しか入ってないよ。残りは?」

彼は黙ったまま、私と封筒を交互に見ました。

「……ごめん。もう20万円しかない。詐欺にあったんだ」

「え?どういうこと?」

「相手に振り込んだ。あとからおかしいって気づいたけど、もう連絡がつかなくて…」

「その80万円を?」

「うん」

「でも、それってあなたのお金じゃないよね」

彼はうつむいたまま、何も言いませんでした。

怒りより先に、頭の中が真っ白になりました。父親から預かったお金に、私に何も言わず手をつけていた。そのことのほうが、80万円という金額以上に重く感じました。

彼の両親が持ってきた80万円

その週末、彼の両親が家に来ました。

彼の父は座るとすぐ、白い封筒を机の上に置きました。

「本当に申し訳ない。なくなった80万円は、こちらで補わせてください」

「でも、お二人が使ったわけじゃないですし…」

そう返すと、彼の父は首を振りました。

「もともと私が息子に100万円を預けたんです。あなたに渡るはずだった金額だけは、きちんとそろえさせてください」

彼の母も、「こんなことになって、本当にごめんなさいね」と頭を下げました。

言われるまま封筒を確認すると、きちんと80万円入っていました。

彼の父は、隣で黙っている彼に向かって言いました。

「騙されたことも問題だけど、預かった金を勝手に使ったことは別の話だぞ」

「……うん。わかってる」

彼の返事を聞いても、私は何も言えませんでした。

足りなかった80万円は戻りました。数字だけなら、これで100万円です。

けれど、その日から私は彼の「大丈夫」という言葉を、そのまま信じられなくなりました。予定も、お金のことも、自分で確認する癖がつきました。

この一件だけが理由ではありません。それでも、ここでできた小さな亀裂は、その後も消えませんでした。

数年後、私たちは離婚しました。

元義母からは今でも年に一度、短い便りが届きます。あの夜を思い出すたび、失ったのは80万円ではなく、相手の言葉を疑わずに受け取れていた自分だったのだと思います。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.09.17(Thu)

「ドレッシングがちょっと多いんだけど」毎週木曜、同じセットを頼んでいた女性。いつのまにか姿を見なくなった
tend Editorial Team

NEW 2026.09.17(Thu)

「自由席が混んでたんです」私の指定席にいた家族。指摘しても動かなかった家族の言い分とは
tend Editorial Team

NEW 2026.09.17(Thu)

「いつも来てるんだから」予約時間前の案内を求めた常連客。カウンターを叩いたあと、店長が返した一言
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.10.16(Thu)

奈良市議会議員・へずまりゅう氏、議員事務所の審査に落ち「悔しすぎる」と吐露。SNSでは「失った信頼は10年やそこらじゃ戻...
tend Editorial Team

2026.01.19(Mon)

「今月だけ助けて」金を借りる兄。だが、兄の部屋で見つけた、給料明細に書かれていた金額に絶句【短編小説】
tend Editorial Team

2026.08.18(Tue)

「レジの袋が小さい、入れ直せよ」一番大きな紙袋だと説明しても納得しなかった客。だが、店長の一言で態度が一変
tend Editorial Team