「これ、特売だったよね?値段が違うんじゃないの」レジで怒り出した男性。だが、店長が商品と値札を見比べた結果
一つだけ開いていたレジで止まった会計
四十代の私が、平日の昼過ぎに近所のスーパーへ寄ったときのことです。
店内はすいていて、開いているレジは一つだけでした。私の数人前で、五十代くらいの男性が会計をしていました。
女性の店員さんが金額を伝えると、男性は商品をレジ台に置き直し、表示された金額を見ました。
「ちょっと待って。これ、特売だったよね?値段が違うんじゃないの」
店員さんは商品を確認してから答えました。
「申し訳ございません。売場の表示を確認します」
すると、男性の声が急に大きくなりました。
「確認って…早くしてくれよ」
「ただいま呼びますので、少々お待ちください」
店員さんが内線に手を伸ばすと、男性は待ちきれない様子でもう一度言いました。
「だから、客を何分待たせる気なんだよ!」
列に並んでいた人たちは黙ったままでした。私も買い物かごを持ちながら、そのやり取りを見ていました。
店長が確認した売場の値札
ほどなくして店長がやって来ました。
「お待たせして申し訳ありません。どうされましたか」
店員さんが事情を説明すると、男性もすぐに口を開きました。
「これ、特売って書いてあったんだよ。それなのに普通の値段になってるんだ」
店長は商品を確認すると、落ち着いた口調で答えました。
「分かりました。では、売場の表示を一緒に確認させてください」
男性は店長とともに、レジのすぐ脇にある商品棚へ向かいました。
私が並んでいた位置からも、二人の姿と値札が見えるほどの距離でした。
棚には特売のポップがあり、その下には似た色のパッケージの商品が二列に並んでいました。
店長は男性が持っていた商品と、ポップに書かれた商品名を順番に確認しました。
「お客様、特売になっているのはこちらの商品ですね。お持ちになったのは、その隣の商品です」
男性は商品と値札を何度か見比べました。
「でも、こんなに近くに並べてあったら分かりにくいよ」
「そうですね。紛らわしく見えたかもしれません。申し訳ありません。ただ、こちらの商品は表示されている通常価格になります」
店長はそう説明すると、特売の商品を示しました。
「こちらの商品でしたら特売価格になります。お取り替えしますか?」
男性はしばらく値札を見ていましたが、やがて小さく息を吐きました。
「…いや、もういいよ」
男性は手にしていた商品を棚へ戻すと、そのまま店を出ていきました。
店長はレジへ戻ると、店員さんに声をかけました。
「大丈夫?ちゃんと確認しようとしてくれてたから、気にしなくていいよ」
店員さんは少しほっとしたような表情を見せました。
「ありがとうございます。ちょっと焦ってしまって……」
「うん。こういうときは一人で抱えなくていいからね」
「はい」
店員さんは小さくうなずくと、次のお客さんに向き直りました。
「お待たせして申し訳ありませんでした」
止まっていた列が、ようやく少しずつ前へ進み始めました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














