「こんな混んでる時間に新人をレジに立たせるな!」男性客に怒鳴られ、指先を震わせていた新人店員。後ろに並んでいた女性の温かい一言
手入力のわずかな時間
週末の夕方、夕飯の買い出しに近所のスーパーへ寄ったときのことです。
店内は混み合っていて、どのレジにも買い物かごを持った客が列をつくっていました。
私の2人前で会計をしていたのは、50代くらいの男性客です。
レジを担当していたのは、研修中の名札をつけた10代くらいの女性店員でした。
店員は一つずつ商品を読み取っていましたが、途中で一つだけ、バーコードがうまく読み取れない商品がありました。
店員は番号を確認しながら、レジに手入力し始めました。
すると、男性客が腕を組み、大きなため息をついたのです。
「おい、まだか」
「すみません。すぐに終わりますので…」
店員がそう答えると、男性の声がさらに大きくなりました。
「研修中だかなんだか知らないが、こっちは急いでるんだ!」
店員は何度も頭を下げましたが、男性はレジ台に手をついて身を乗り出します。
「責任者を呼べよ!こんな混んでる時間に新人をレジに立たせるな!」
店員は慌てて呼び出しボタンを押しました。
しかし、男性はそれでも文句を言い続けます。
「こっちは待たされてんだぞ。何かサービスくらいしろよ!」
店員の指先は、レジのキーの上で小さく震えていました。
確かに会計は一時的に止まりましたが、店員が何か間違えたわけではありません。
それなのに、これほど怒鳴られるなんて…。
私も周囲の客も、何も言えずにいました。私は買い物かごを持ったまま、ただ様子を見守ることしかできませんでした。
年配の女性がかけた言葉
しばらくして、40代くらいの店長が駆けつけました。
店長はレジの画面を確認すると、落ち着いた声で男性客に説明しました。
「バーコードが読み取れない場合は、番号を手で入力することになっています。店員は手順どおりに対応しています」
しかし、男性は納得しません。
「そんなの知らないよ。こっちは待たされてるんだぞ!」
「お待たせしたことは申し訳ありません。ただ、それを理由に特別なサービスをすることはできません」
店長がきっぱりと伝えると、男性はまだ何か言いたそうにしていました。
ところが、ふと後ろを振り返ると、長く延びた列の客たちが黙って自分を見ています。
男性は周囲の視線を避けるように目を伏せ、それ以上は何も言わずに会計を済ませました。そして、足早に店を出ていったのです。
男性がいなくなると、レジの周囲に張りつめていた空気が少しやわらぎました。
そのとき、私の後ろに並んでいた年配の女性が、店員に向かって声をかけました。
「ちゃんとやってたわよ。ありがとうね」
店員は驚いたように顔を上げました。そして、泣くのをこらえるように唇を結び、小さくうなずきました。
私も自分の番になって会計を終えると、袋詰めの台へ向かう前に、店員に声をかけました。
「ありがとうございます」
店員の目はまだ少し赤くなっていましたが、その口元には小さな笑みが戻っていました。
店長が店員の対応を認めてくれたことも、年配の女性がかけた温かい言葉も、きっと店員にとって心強かったと思います。
ほんの短いやり取りでしたが、あの女性の一言が、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














