「どうにかなりませんか?」福袋の交換を必死にお願いしていた女性。後日、面接で再会した私の印象が変わった理由
福袋の交換をお願いしてきた女性
以前、私は洋服のお店で働いていました。
お正月の昼、ある女性が福袋を2つ購入していきました。ところが、しばらくすると、その女性がレジに戻ってきたのです。
「すみません。さっき福袋を2つ買ったんですけど、中身が同じだったんです」
話を聞くと、2つともまったく同じ服が入っていたとのことでした。
「同じものが2つあっても困るので、ひとつ交換してもらえませんか?」
気持ちはわかりますが、福袋は原則として交換できない決まりです。
「申し訳ありません。福袋は交換をお受けしていないんです」
そう伝えると、女性は困った表情になりました。
「そうなんですね…。でも、どうにかなりませんか?」
女性が両手を合わせてお願いしていると、今度は後ろにいた母親らしき年配の女性まで身を乗り出してきました。
「そこを何とかお願いできないかしら」
なんと、その女性まで同じように手を合わせています。
二人そろって必死にお願いする姿に、私は少し驚いてしまいました。
お店には、トラブルを長引かせないために例外的な交換にも応じる方針がありました。そのため、今回は未開封の別の福袋と交換することになったのです。
「ありがとうございます!助かりました」
二人はうれしそうに笑いながら帰っていきました。
ずいぶん一生懸命な人だなと思いながら、その後も二人の姿が印象に残っていました。
面接で聞いた、思いがけない退職理由
それから少しして、お店でアルバイトを募集することになりました。
私は面接を任され、奥の事務所で応募者を待っていました。
ところが、入ってきた女性を見てびっくり。あの福袋の交換をお願いしてきた女性だったのです。
まさか面接で再会するとは思いませんでしたが、私は普段どおりに面接を始めました。
履歴書に目を通し、前職について質問しました。
「前はどんなお仕事をされていたんですか?」
「新幹線の車内販売をしていました」
「そうなんですね。車内販売ですか!」
私は思わず身を乗り出しました。
揺れる車内でワゴンを押しながら接客する仕事です。忙しいときの対応や接客の工夫など、ぜひ聞いてみたいと思いました。
「大変なお仕事ですよね。どのくらい続けられたんですか?」
すると女性は、少し言いにくそうに笑いました。
「それが、3か月くらいなんです」
「あ、そうだったんですね」
「実は私、乗り物酔いしやすくて。どうしても慣れなくて、続けられなかったんです」
「えっ、そうだったんですか」
予想していなかった答えに、私は驚きました。
女性も苦笑いしながら話を続けます。
「仕事は好きだったんですけどね。だから今度は、揺れないお店で働きたいんです」
「ああ、なるほど。それなら、ここは大丈夫そうですね」
そう返すと、女性も笑いました。
そのやり取りをしながら、私は福袋のときのことを思い出していました。
あのときは、交換できないと伝えても一生懸命にお願いする姿に、少し押しが強い人だなと感じたものです。
でも、今回も自分が苦手なことや仕事を辞めた理由を、変に取り繕うことなく話してくれました。
もしかすると、思ったことをそのまま言葉にする、素直で飾らない人なのかもしれません。
福袋のときは驚かされましたが、こうして話してみると、何だか憎めない人だなと思いました。
まさかあの女性と面接で再会し、こんな一面を知ることになるとは。私にとって、忘れられない出来事になりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














