「ないわけないだろう」スーパーで女性店員に詰め寄った男性客。差し出したチラシの日付を確認した途端、声が小さくなった理由
チラシを手に声を荒らげる男性客
昼すぎ、僕がよく利用するスーパーで買い物をしていたときのことです。
野菜をかごに入れていると、少し先の通路から大きな声が聞こえてきました。
目を向けると、年配の男性客が若い女性店員さんに詰め寄っています。男性の手には、何度も折りたたまれたようなチラシが握られていました。
「おい、このチラシの限定品、どこに置いてあるんだ」
「申し訳ありません。そちらの商品は、今は売り場にないんです」
すると男性は、眉をひそめてチラシを広げました。
「はあ?ないわけないだろう。ここにちゃんと出てるじゃないか!」
男性はチラシで手のひらをたたきながら、さらに声を大きくしていきます。
「こっちはこれを見て、わざわざ来たんだぞ。どうしてくれるんだ!」
「申し訳ございません…」
店員さんは困った表情で、何度も頭を下げていました。
周囲のお客さんたちは、男性を避けるように通路の端を通っていきます。
僕も少し離れた棚の前で、かごを持ったまま立ち止まっていました。
店員さんが気の毒でしたが、怒っている男性に声をかける勇気はありません。
男性の文句はなかなか収まらず、店員さんも対応に困っている様子でした。
店員さんが指さしたチラシの日付
そんなとき、店員さんが男性の持つチラシに目をとめました。
「あの、恐れ入ります。そのチラシ、少しだけ見せていただけますか?」
「だから、ここに載ってるって言ってるだろ。ほら!」
男性は不機嫌そうにチラシを差し出しました。
店員さんはそれを両手で受け取ると、丁寧に広げ、上のほうに印刷されている日付を指さしました。
そして、落ち着いた声でこう伝えたのです。
「こちらは先週のチラシでございます」
「……え?」
男性の声が急に小さくなりました。
「こちらの限定品は、先週で販売が終わっているんです。今週のチラシでしたら、入口に置いてございます」
男性はチラシをのぞき込み、指さされた日付をじっと見つめました。
「…………」
先ほどまでの勢いはどこへやら。男性は何も言わず、しばらくその場に立っていました。
そして店員さんからチラシを受け取ると、黙って折りたたみ、入口とは反対の方向へ歩いていったのです。
通路にいたほかのお客さんたちも、その背中をちらりと見送っていました。
店員さんは小さく息をつき、棚の商品を整え始めました。
僕もようやくかごを持ち直し、次の売り場へ向かいました。
あれだけ怒っていた男性が、日付を示された途端に何も言えなくなったことには驚きました。
それ以上に印象に残ったのは、最後まで声を荒らげず、落ち着いて説明していた店員さんの姿でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














