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2026.10.26(Mon)

「前の店長はやってくれた」回転寿司で手渡しを要求し続けた常連夫婦。新店長が伝えた方針に、妻が黙った瞬間

「前の店長はやってくれた」回転寿司で手渡しを要求し続けた常連夫婦。新店長が伝えた方針に、妻が黙った瞬間

回転寿司なのに、あの夫婦だけは手渡し

10代のころ、私は回転寿司店で初めてのアルバイトをしていました。

ホールの仕事にも少しずつ慣れてきたころ、先輩から不思議な注意を受けたことがあります。

当時の店では、席のインターホンで注文を受け、番号のついた台に寿司をのせてレーンで流すのが基本でした。

ところが、ほぼ毎日来店する常連の夫婦だけは違いました。

「あそこのご夫婦の注文は、直接持っていってね。商品名もちゃんと言って。レーンで流すと怒られるから」

夫婦はいつも同じテーブル席に座り、注文した寿司を店員が手渡しするのを待っていました。

最初は私も、そういう決まりなのだと思って対応していました。しかし、少しずつ気になることが増えていったのです。

ある昼、注文の寿司を運び、商品名を伝えたときのことです。

「え?何て言ったの?」

私の声が小さかったようで、妻はため息をつきました。

「聞こえないわよ。もっとはっきり言ってちょうだい」

「すみません。こちら、〇〇です」

言い直すと、ようやく皿を受け取ってくれました。

さらに別の混雑した昼、私はうっかり夫婦の注文を番号つきの台にのせ、レーンへ流してしまいました。

すると、妻がテーブルから私を手招きしています。

「ちょっと。どうして流しちゃうの?」

「あっ、すみません!」

「手で持ってきてって、いつも言ってるでしょう?」

私は慌ててレーンから皿を取り、夫婦のテーブルまで運びました。

「申し訳ありませんでした」

「常連なんだから、それくらい覚えておいて」

妻は私が商品名を言い直すまで、皿を受け取ろうとしませんでした。

それ以来、どんなに忙しくても、夫婦の注文だけは一皿ずつ直接運ぶようにしていました。

ほかのお客様にはレーンで届けているのに、どうしてこの席だけ……。そんな疑問はありましたが、また注意されるのが嫌で、何も言えませんでした。

「前の店長はやってくれた」と言われた新店長

そんなある日、店に新しい店長がやって来ました。

先輩から夫婦への特別な対応について聞いた店長は、ある日の昼、夫婦が注文を済ませたころにテーブルへ向かいました。

私は近くのレーン脇で皿を片づけながら、そのやり取りを聞いていました。

「いつもありがとうございます。ひとつ、お伝えしたいことがありまして」

店長がそう切り出すと、妻は顔を上げました。

「今日から、ご注文のお寿司はレーンでお届けすることにしました」

「え?うちはいつも持ってきてもらってるんだけど」

「はい、そのことは聞いております。ただ、混み合う時間も含めて、皆様に同じ方法でお届けしたいんです」

妻は不満そうに箸を置きました。

「前の店長はやってくれた」

「そうだったんですね。申し訳ありませんが、これからはレーンでのお届けをお願いします」

店長は声を荒らげることもなく、落ち着いて答えました。

「でも、ずっとそうしてもらってたのよ?」

「はい。ただ、今後はこちらの方法で統一させてください」

妻は何か言いかけましたが、それ以上は続きませんでした。通路の向こうでは、家族連れのお客様もこちらを気にしている様子でした。

ちょうどそのとき、夫婦が先ほど注文した寿司が、番号つきの台にのってレーンを流れてきました。

店長はその皿を指し示し、穏やかに声をかけました。

「ご注文のお寿司が届きました」

夫婦は顔を見合わせましたが、もう手渡しを求めることはなく、黙って皿を取りました。

店長は私のほうへ小さくうなずき、厨房へ戻っていきました。

それまで当たり前のように続いていた特別対応が、店長の落ち着いた説明で終わったのです。

その日は夫婦の注文を気にして何度もテーブルへ向かう必要がなくなり、私はほかのお客様への対応に集中できました。

無理な要望に対しても、感情的にならず、店としての方針をきちんと伝える。あの店長の対応は、今でも印象に残っています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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