「困ったときはお互い様だろ」妹から何度もお金を借りながら旅行を楽しむ兄。正月、父に渡した一覧がきっかけで状況が一変
何度もお金を借りる兄と、返ってこない貯金
私はいつかひとり暮らしをするために、働いて少しずつお金を貯めていました。
ところが数年前から、その貯金を兄に何度も貸すようになっていました。
兄はお金が必要になると、決まって電話をかけてきます。
「悪い、今回だけ助けてくれないか」
家族だから困っているなら助けたい。そう思って、私はそのたびにお金を振り込んでいました。
しかし、返済はなかなか進みません。
それなのに、家族の集まりでは兄が楽しそうに出かけた話をするのです。
「この前、ライブに行ったあと、そのまま旅行もしてきたんだよ。楽しかったなあ」
その話を聞いて、私は思わず箸を止めました。
お金がなくて困っているはずなのに、旅行やライブには行けるのでしょうか。
食事のあと、台所で湯飲みを片づけていると、兄が通りかかりました。
私は思い切って声をかけました。
「ねえ、この前貸したお金、いつごろ返せそう?」
「え?ああ、そのうちな」
「前にもそう言ってたよね。私も使う予定があるから、ちゃんと返してほしいんだけど」
すると兄は、少し面倒そうな顔をしました。
「困ったときはお互い様だろ。そんなに急かさなくてもいいじゃん」
「でも、私だって頑張って貯めたお金なんだよ」
「わかってるって。ちゃんと返すから」
兄はそれ以上話すつもりがないのか、そのまま居間のテレビの前へ戻っていきました。
その夜、通帳を眺めながら、何度頼んでも返す時期さえ教えてもらえないことが悲しくなりました。
正月、父に見せた振り込みの記録
私は一度、兄に貸したお金を整理してみることにしました。
通帳を開き、これまで兄に振り込んだ日を紙に書き出しました。
その横には、兄が家族に話していた旅行やライブの日付も並べてみました。
すると、お金を振り込んだあと間もなく遊びに出かけていることが、何度もあったのです。
もちろん、私が貸したお金をそのまま使ったのかは分かりません。ただ、返済が進まない一方で、旅行やライブには出かけている。そのことがどうしても引っかかりました。
正月、実家に家族が集まったときのことです。
私は座卓の端に座り、まとめた一覧を父に渡しました。
「お父さん、ちょっとこれ見てほしいんだけど」
父は一覧をじっと見てから、テレビを見ていた兄に声をかけました。
「ちょっとこっちに来てくれ」
兄は不思議そうな顔で、父の向かいに座りました。
父は一覧を兄に見せました。
「これ、全部お前が借りた分か?」
「ああ、うん。そうだけど……」
「まだ返してないんだろ?」
「返すつもりだよ」
「じゃあ、いつ返すんだ?」
兄は少し黙ってから、口を開きました。
「いや、それはまだ決めてないけど……」
父はため息をつきました。
「それじゃ、いつまでたっても返せないだろ。妹だって必要なお金なんだから」
兄は何も言わず、一覧に目を落としていました。
父は紙とペンを差し出しました。
「毎月いくらなら返せるか、ここで書いてみなさい。無理のない金額でいいから、ちゃんと決めよう」
「……わかった」
兄は小さく返事をして、返済の計画を書き始めました。
父も「毎月ちゃんと返しているか、私も確認するからな」と伝えました。
翌月から、兄の返済が始まりました。
父は毎月兄に電話で確認してくれていて、私の通帳にも少しずつお金が戻ってきています。
まだ全額が返ってきたわけではありません。それでも、何度聞いても「そのうち」としか答えなかった兄が、実際に返し始めてくれたことにほっとしました。
家族だからこそ、お金の貸し借りは曖昧にしてはいけないのだと感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














