「小さい子相手に、心が狭いのね」児童館でわが子の車を欲しがった5歳の男の子。だが、母親が黙った直後の行動
スマートフォンを見たまま口を出した母親
ある日の昼すぎ、私は子どもを連れて児童館へ行きました。
遊びの部屋にはマットが敷かれ、壁ぎわの棚には積み木や車のおもちゃが並んでいました。
3歳くらいのうちの子が夢中になっていたのは、家から持ってきたお気に入りの車です。
マットの上を走らせていると、5歳くらいの男の子が近づいてきました。
「ねえ、それ、ぼくも使いたい」
男の子が隣にしゃがんで車に手を伸ばすと、うちの子は車を胸に抱え込み、困ったように私を見上げました。
私は男の子と目線を合わせ、声をかけました。
「ごめんね。それ、うちから持ってきたおもちゃなんだ。だから貸せないんだ」
男の子が手を止めた、そのときです。少し離れた長いすから女性の声がしました。
「なに、取り合い?」
声をかけてきたのは、男の子の母親でした。
スマートフォンを見たまま、こちらの話を聞いているようです。
「貸してあげなさいよ。けちけちしないで」
突然の言葉に驚き、私は慌てて説明しました。
「あの、これ、家から持ってきたもので……」
しかし、母親はこちらに目を向けることもなく、さらに言いました。
「小さい子相手に、心が狭いのね」
少しずつ大きくなる声に、近くの棚の前にいた親子も振り返りました。私は、どう返したらいいのか分からなくなってしまいました。
「ごめんね」と言った男の子
すると、それまで黙っていた男の子が、うちの子のほうを向きました。
「きみのおもちゃだったんだ、ごめんね」
怒るでも、泣くでもなく、素直に謝ってくれたのです。
さらに男の子は立ち上がり、壁ぎわの棚へ走っていきました。そして、児童館に置いてあった別の車のおもちゃを持って戻ってきました。
「これ、ぼくが使うね。一緒に遊ぼう」
にこっと笑ってそう言われると、うちの子もぱっと表情を明るくして、大きくうなずきました。
二人はマットの上に並び、それぞれの車を楽しそうに走らせ始めました。
その声が聞こえたのか、長いすに座っていた母親がようやく顔を上げました。
目の前では、息子が児童館の車で遊び、その隣ではうちの子が自分のおもちゃを走らせています。
先ほどまで強い口調で話していた母親は、何も言いませんでした。やがてスマートフォンをしまい、子どもたちの様子をじっと見つめていました。
私は男の子に声をかけました。
「ありがとう。優しいね」
男の子は少し照れくさそうに笑いました。
おもちゃを貸してもらえなくても、相手の話を聞いて、自分で別の遊び方を見つけた男の子。
大人の私が返事に困っていた場面で、あの子が見せてくれた素直な優しさが、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














