「何分待たせる気だ、早くしろ」と新人店員を責め立てる私の前の客。店員にかけた私の声に、客の口元が引きつった
夕方のレジで響いた男性客の声
夕方のレジで、男性客は新人の店員を急かして責めました
三十代の会社員の私は、仕事帰りの夕方、近所のドラッグストアで日用品を買おうとレジの列に並んでいました。
開いているレジは一台だけでした。
担当していたのは、まだ慣れていない様子の若い店員です。
私の前には四十代くらいの男性客がいて、商品が一つ通るたびにため息をついていました。
「何分待たせる気だ、早くしろ。」
店員は『申し訳ありません』と答えましたが、声はかすれていました。
店員の手は震え、後ろの私は動けずにいました
店員は焦るほど手元が乱れていきました。
同じ商品のバーコードを何度も読み取ろうとし、指先も小刻みに震えていました。
男性は眉を寄せて、さらに声を強めました。
「袋が要るか、普通は聞くだろ。」
店員はうつむいたまま、小さな声で謝るだけです。
会計はなかなか進みません。
男性は、まだ言い足りない様子でした。
「新人をレジに立たせるなよ。」
後ろの列は動かず、誰も口を挟みませんでした。
私も止めに入ろうか迷いましたが、今度は自分がにらまれるかもしれないと思うと、声を出せません。握った手に力が入りました。
順番が来た私が店員にかけた言葉
私の番になり、震える店員に静かに声をかけました
ようやく男性の会計が済みました。
それでも男性は、小銭入れを閉じながら店員をにらみ、レジの脇から動きません。
『まったく、疲れるな』と、独り言のように言います。
店員は何度も会釈していました。
そして私の番が来ました。
商品を受け取る店員の指先はまだ震えていて、顔も上げられません。
悪いのは、この店員ではない。
そう思うと、先ほどまでのためらいが薄れました。私は声が尖らないように気をつけて、静かに話しかけました。
「ゆっくりで構いませんよ。」
「時間なら、ありますから。」
客は返す言葉がなく、口元を引きつらせて去りました
店員は目を見開いて、私を見ました。
レジの脇にいた男性も、こちらを向きました。
男性は一度だけ私を見ると、すぐに目をそらしました。
何か言い返そうとするように口を開きかけましたが、結局何も言いません。
口元をぴくりと引きつらせ、袋を持ち直して肩をすくめると、足早に出入口へ向かいました。
自動ドアが閉まる音がして、レジの前の空気が少し軽くなったように感じました。
「ありがとうございます。」
店員は小さな声で言いました。先ほどまで震えていた手も落ち着き、両手を重ねていました。
私は軽くうなずきました。焦らなくていいと伝わっていれば、それで十分でした。
店員は買った物を一つずつ袋に入れ、最後に両手で丁寧に渡してくれました。その表情は、先ほどよりもやわらかくなっていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














