「子どもを騒がせるなら出て行って!」と娘を泣かせた住人。だが、苦情を続けた結果
休日に響いた怒声
娘の友達が遊びに来ていた、よく晴れた休日だった。子どもたちの笑い声がリビングに弾けた、その直後。
玄関のドアが激しく叩かれた。斜め下に住む60代の女性が、顔を真っ赤にして立っていた。
「子どもを騒がせるなら出て行って!」
娘はその声に、わっと泣き出した。
私は娘を背中にかばいながら、必死に言い返した。
「言い方があるでしょう。まだ小さい子なんです」
「なら、決まりを守りなさいよ!」
そう言い捨てて、彼女は階段を下りていった。後ろ手にドアを閉めると、娘がしゃくりあげながら私の服の裾を握っていた。この人とは、まともに話せない。背筋が冷たくなった。
3年分の嫌がらせ
思えば、彼女の標的にされたのは引っ越し当日からだった。
ゴミ出す時は
「あなた、袋の縛り方が甘いわよ。この町内はね、あなたみたいな人が来ると乱れるのよ」
頭を下げて結び直す私を、彼女は腕を組んだまま見下ろしていた。
3年間、ずっとこの調子だった。けれど娘を泣かせた一件で、私は腹を決めた。管理会社に相談したのだ。担当者は静かに言った。
「いつ、何を言われたか。日付を添えて記録に残しておいてもらえますか。そのほうが、こちらも動きやすいので」
私は毎日メモを取った。日付、時間、言われた言葉。一週間分をまとめて提出すると、担当者が意外なことを口にした。
「他のお宅からも、同じ方の苦情が何件も届いているんですよ」
「えっ、私だけじゃ……」
「ええ。みなさん、言いづらかったみたいで」
被害者は私だけではなかった。みんな、黙って耐えていたのだ。管理会社はすぐに動き、彼女へ正式な注意がなされた。
効果はてきめんだった。あれほどしつこかったゴミ出しの監視も、ぴたりと止んだ。
翌朝、おそるおそる集積所へ向かうと、いつもの定位置に彼女の姿はなかった。たまに顔を合わせても、気まずそうに目をそらして足早に去っていくだけ。あの仁王立ちが嘘のようだった。立場は、すっかり入れ替わっていた。
「お友達、また呼んでもいい?」
数日後、娘が玄関でそう聞いてきた。もう誰にも怯えていない、いつもの笑顔だった。
「もちろん。好きなだけ呼んでいいよ」
その返事に娘が飛び跳ねるのを見て、ようやく肩の力が抜けた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














