「かして」と言われて黙り込んだ2歳の息子。赤い車が戻ってきたあと、自分から差し出した1台
遊び始めたばかりの1台でした
夕方の公園に、2歳の息子と寄ったときのことです。
息子は赤い車のおもちゃを2台持ってきていて、大きいほうを砂の上で走らせ始めたところでした。もう1台は袋に入ったままです。
そこへ、同じ年ごろの男の子が母親と一緒にやってきました。息子の車をじっと見てから、手を伸ばします。
「かして」
息子は車を胸元に引き寄せました。
「ごめんね。今、遊び始めたばっかりなんだ」
私がそう言うと、相手の母親が袋から見えていた小さい車を指さしました。
「じゃあ、そっちなら借りてもいいんじゃない?今使ってないみたいだし」
「あ……それも、この子のなんです」
「そうですか。ごめんなさい」
母親はそう言ったものの、男の子は小さい車から目を離しませんでした。
すると息子が袋から車を取り出し、黙って差し出しました。
「いいの?」
私が聞くと、息子は何も言わずにうなずきました。ただ、男の子が車を持っていくと、その後ろ姿をずっと目で追っています。
滑り台へ行っても、男の子は車を手から離しませんでした。
しばらくすると息子が、小さな声で言いました。
「くるま…」
「うん。そろそろ返してもらおうか」
私も声をかけに行こうとした、そのときでした。
赤い車を持って戻ってきました
少し離れた場所にいた相手の母親が、男の子に声をかけました。
「そろそろ帰るよ。借りた車、返しておいで」
男の子は手の中の車を見てから、こちらへ走ってきました。
息子の前で立ち止まり、赤い車を差し出します。
「これ、かえすね」
息子は両手で受け取ると、ほっとしたように車を抱えました。
「ありがと」
追いついてきた母親も、私に頭を下げました。
「さっきはすみません。使ってないならいいかなって、私が勝手に決めちゃって」
「いえ。ちゃんと返してくれたので」
息子は戻ってきた小さい車を、大きい車の隣に並べました。
ところが少し考えたあと、小さいほうをもう一度持ち上げ、男の子の前へ差し出したのです。
「はい」
男の子がうれしそうに受け取ります。
「いいの?」
息子は今度は迷わず、こくんとうなずきました。
帰るまでの少しの間、二人は砂場にしゃがみ込み、1台ずつ赤い車を走らせていました。
最初は手放したくなかったおもちゃです。それでも、一度きちんと返してもらったことで、今度は息子自身が「貸してもいい」と思えたのかもしれません。
その様子を見ながら、貸すことよりも、自分で決められたことが何よりよかったのだと思いました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














