「撮る間だけだから、少し詰めて」徒競走の最前列に入り込もうとした父親に、先生が伝えたこと
最前列のわずかな隙間に入ろうとした父親
息子の小学校の運動会で、午前の徒競走を見ていたときのことです。
グラウンド脇には保護者用の撮影エリアがあり、最前列では、そのとき走っている子どもの保護者たちがカメラを構えていました。
一つの組が終わると撮影していた人が後ろへ下がり、次の組の保護者が前へ出ます。
近くにいる先生も、ときどき「撮影が終わった方は交代をお願いします」と声をかけていました。
私の息子の出番はもう少し先だったので、少し後ろからその様子を見ていました。
すると、一人の父親が撮影エリアの横から前へ進んでいきました。
最前列はすでに人でいっぱいです。それでも父親は、二人の保護者の間にわずかな隙間を見つけると、カメラを持ったまま体を入れようとしました。
「すみません、ちょっとだけ詰めてもらえません?うちの子、次なんで」
隣にいた女性が、押されるようにして振り返りました。
「えっ……今、この組を撮ってるので」
「いや、撮る間だけです。そんなに場所取らないから」
父親はさらに前へ出ようとします。
女性は困った表情で、「次の組なら、今の競技が終わってから入れ替わるみたいですよ」と伝えました。
「でも、もうすぐ走るんですよ。今から準備しとかないと撮れないじゃないですか」
「でも、今撮ってる方もいますし…」
「少しくらい詰められるでしょ」
父親の声が大きくなり、周囲の保護者も振り返りました。
「今の組が終わったら、交代できます」
その様子に気づいた係の先生が、撮影エリアへやってきました。
「どうされましたか?」
父親は少し苛立った様子で答えました。
「うちの子が次なんです。ちょっと前に入れてもらいたいだけなんですけど」
先生は最前列を確認してから、父親に説明しました。
「今は、この組のお子さんを撮影している方の時間なんです。終わったら次の組の方と交代しますので、もう少しお待ちください」
「でも、撮る場所がなくなったら困るんですよ」
「大丈夫です。今の組が終わったら前の方に下がっていただきます。そのときに入ってください」
父親はまだ何か言いたそうでしたが、先生が「今撮っている方も、お子さんの走るところを残したくて前にいらっしゃいますから」と続けると、ようやくカメラを下ろしました。
「……分かりました」
父親は最前列から離れ、少し後ろで待つことにしたようでした。
やがて今の組がゴールすると、前にいた保護者たちが次々に下がりました。
先生が「次の組の方、どうぞ」と声をかけると、先ほどの父親もほかの保護者と一緒に前へ出て、今度は無理に誰かの間へ入ることなくカメラを構えていました。
そのあと私の息子の出番も近づき、同じように前の組が終わるのを待ってから撮影場所へ入りました。
わが子の姿をできるだけ近くで撮りたい気持ちは、どの親も同じです。だからこそ、自分の出番が近いからといって、今撮っている人の場所へ無理に入り込まないことが大切なのだと感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














