「言ってるの、そっちだけだから」路上駐車を注意しても開き直る隣人。だが、自治会長の一言で顔色が一変
細い道をふさぐ車
子どもがまだ小さかったころ、私たち家族は住宅街の戸建てに引っ越しました。
隣は同じ年ごろの子どもがいる家族で、週末になると友人家族がよく遊びに来ていました。
困ったのは、その来客たちの車です。
隣の敷地には停めきれないため、家の前の細い道路に何台も駐車していたのです。
車が並ぶと見通しが悪くなり、わが家の駐車場から車を出すのもひと苦労でした。歩行者や自転車が来ないか、何度も確認しながら慎重にハンドルを切る必要がありました。
ある日、車のそばにいた隣の奥さんに、私は思い切って声をかけました。
「お客さんの車、少し寄せてもらえませんか。出るときに前が見えなくて」
すると奥さんは、少し困ったような顔をしました。
「週末だけなんだから、大目に見てよ。せっかく遠くから来てくれてるんだし」
私はそれ以上強く言えず、その場を離れました。
しかし、翌週もその次の週も、状況は変わりませんでした。
車を出し入れするたびに気を遣い、来客の車が帰るときには、門の前で何度も切り返すこともありました。
さすがに危ないと感じ、別の日にもう一度お願いしました。
「何度もすみません。でも、車を出すときに危ないので、近くの駐車場を使ってもらえませんか」
すると、奥さんの表情が険しくなりました。
「うちに人が来るのが気に入らないの?」
「そうではなくて、危ないので…」
「ほかの家は何も言ってこないよ。言ってるの、そっちだけだから」
そう言われると、私も返す言葉がありませんでした。
確かに、ほかのご近所さんから苦情が出ている様子はありません。私だけが細かいことを気にしているのだろうかと悩み、その日は家に戻りました。
回覧板が届いた日
ところが、後日、向かいの家の奥さんと立ち話をした際、意外なことが分かりました。
「あの車、うちも困ってるのよ。出かけるときに見通しが悪くて」
さらに、角の家のご主人も同じように困っていると聞きました。
私だけではなかったのです。
そこで私たちは、自治会長に相談することにしました。
事情を聞いた自治会長は、まず自治会の回覧板で、道路への長時間の駐車を控えるよう注意を呼びかけてくれました。
特定の家を名指しするものではなく、歩行者の安全や車の出入りに支障が出ることを説明した、地域全体へのお願いでした。
しかし、その翌週末も、隣の家の前には数台の車が停まっていました。
状況が改善されないことを伝えると、自治会長は直接話をしてくれることになりました。
その日の昼過ぎ、買い物から戻った私は、ちょうど自治会長が隣の奥さんと玄関先で話しているところに出くわしました。
「先日、回覧板でもお願いしたんですが、週末の路上駐車のことで少しお話がありまして」
奥さんは不満そうな表情を浮かべました。
「え、うちですか?言ってるの、お隣だけですよね?」
そう言いながら、奥さんは私のほうをちらりと見ました。
自治会長は落ち着いた口調で答えました。
「いえ、ほかのお宅からも相談を受けています。車の出入りがしにくいという声もありました」
そして、道路のほうを指しながら続けました。
「この道は、子どもたちも通るんですよ」
「お客さんの車は、近くの駐車場に止めてもらってください。ご近所のみなさんからも、同じお願いが来ています」
奥さんは驚いたように目を見開きました。
「え……ほかの人も、そう言ってるんですか?」
「はい。事故が起きてからでは遅いですから、協力していただけませんか」
奥さんはしばらく黙ったあと、小さな声で答えました。
「……分かりました。今度から伝えておきます」
それまで「文句を言っているのは私だけ」と思っていた奥さんにとって、ほかの住民も困っていたという事実は予想外だったのでしょう。
その後、隣の家に来る車が道路に何台も並ぶことはなくなりました。来客の車も、近くの駐車場を利用するようになったようです。
おかげで、私は以前ほど車の出し入れに神経を使わずに済むようになりました。
隣の奥さんとは、今でも顔を合わせれば挨拶する程度の関係です。少し気まずさは残っていますが、あのとき自治会に相談してよかったと思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














