「なんでお前に分けるんだ?」父の小銭貯金を欲しがる叔父。だが、父がきっぱり断った理由
父が何年も続けていた小銭貯金
僕が子どものころから、父には毎日続けている習慣がありました。
夕方、仕事から帰ると財布を開き、百円玉や五百円玉を居間に置いた大きな缶に入れるのです。
何年も続けていましたが、いくら貯まっているのかは父自身も把握していませんでした。
ある休日の昼、母が棚を掃除しようとして、父に声をかけました。
「この缶、重くて一人じゃ下ろせないわ」
「そんなに重くなったか。じゃあ、一回数えてみるか」
僕も手伝って缶をテーブルまで運び、家族で中身を数えることになりました。
缶を傾けると、大量の小銭が出てきました。種類ごとに分けて数えてみると、合計はなんと10万円近く。
「えっ、こんなにあったの?」
母が驚くと、父も笑いながら言いました。
「毎日ちょっとずつでも、貯まるもんだな」
「せっかくだし、みんなでおいしいものでも食べに行かない?」
母の提案に、父はうれしそうにうなずきました。
数え終わった小銭は袋にまとめ、缶は棚に戻しました。
小銭の話を聞きつけた叔父
ところが後日、父の弟である叔父が、わが家を訪ねてきました。
叔父は以前から親戚のお金の話に関心が強い人でした。どうやら、今回の小銭貯金のことも耳に入ったようです。
居間で父と話していた叔父が、ふと思い出したように切り出しました。
「そういえば、あの缶に10万円くらい入ってたんだって?」
「ああ。数えてみたら、それくらいあったよ」
「へえ、すごいな。そんなにあるなら、俺にも少しくらい分けてくれよ」
父は少し驚いた顔をしました。
「なんでお前に分けるんだ?」
「いや、俺だって前に小銭を渡したことがあるだろ。あれも入ってるんじゃないの?」
叔父は冗談めかした口調でしたが、父の返事を待つ様子から、本気で欲しがっているように見えました。
僕は母と一緒に、少し離れたところで話を聞いていました。
父が自分で貯めたお金なのに、どうして叔父に分けなければならないのか。僕には納得できませんでした。
父は小銭をまとめた袋を手に取ると、叔父に言いました。
「この小銭は、家族で外食するために貯めた金だ」
「毎日、自分の財布から入れてきたんだよ。お前からもらった小銭は入れてない」
「でも、10万円もあるんだろ?少しくらいいいじゃないか」
叔父はなおも食い下がりましたが、父は首を横に振りました。
「金額の問題じゃないよ。家族で使うって決めたんだ。悪いけど、分けるつもりはない」
そう言われると、叔父は黙ってしまいました。
母が淹れたお茶を前に、しばらく気まずい沈黙が続きました。
やがて叔父は「まあ、そうか」と小さくつぶやき、上着を手にして帰っていきました。
次の週末、僕たちは予定どおり家族で少しいいお店に食事へ出かけ、家に必要なものも買いました。
「毎日の積み重ねって、すごいだろ」
父が得意そうに言うと、母も笑っていました。
あの小銭は、何年もこつこつ貯め続けた父のお金です。最後まで自分たち家族のために使えたことが、僕もうれしかったです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














