「濡れた葉っぱって重くて大変なのよ」掃除を手伝わず、注文ばかりする近所の女性。だが、おばあさんの一言で空気が変わった
雨上がりの朝、おばあさんの家の前で
大雨がやんだ朝のことです。
窓を開けると、近所でひとり暮らしをしているおばあさんの家の前に、落ち葉や折れた枝がたくさん散らばっていました。
古い一戸建ての前は濡れた葉っぱでいっぱいです。
ひとりで片付けるのは大変だろうと思い、私はほうきとちりとりを持って外に出ました。
すると、すでに近所の人たちが集まり始めていました。
誰かが声をかけたわけではありません。この辺りでは、困っている人がいれば自然と手を貸すことがありました。
「私も手伝います。どこからやりましょうか?」
「ありがとう。じゃあ、そっちの溝のあたりをお願いできる?」
おばあさんもほうきを持ち、私たちと一緒に落ち葉を掃き集めていました。
「みなさん、朝早くからありがとうね。助かるわ」
雨で濡れた葉っぱは重く、集めるだけでもひと苦労です。
それでも、みんなで分担しながら少しずつ片付けていきました。
手伝うどころか、自分の家の掃除まで頼む女性
道のあらかたがきれいになったころ、近所に住む女性が手ぶらで出てきました。
女性は私たちのそばで立ち止まり、掃除の様子を眺めていました。
「朝からご苦労さまねえ」
私たちが軽く会釈すると、女性は自分の家の前を指さしました。
「ねえ、ついでにうちの前もやってくれない?ほうきも持ってることだし」
突然の頼みごとに、私は少し戸惑いました。
女性はさらに、落ち葉を入れる袋を広げていた人にも声をかけました。
「その袋、うちの分にも使わせてもらえない?濡れた葉っぱって重くて大変なのよ」
確かに、濡れた落ち葉を片付けるのは大変です。
ですが、私たちはおばあさんの家の前を手伝うために集まっていました。
「すみません。こちらの片付けもまだ終わっていないので…」
私がそう答えると、女性は少し不満そうな顔をしました。
「だから、終わってからでいいのよ。みんなでやったほうが早いでしょう?」
何と返せばいいのか分からず、私は黙ってしまいました。
ほかの人たちも困ったように顔を見合わせています。
すると、それまで黙って掃除を続けていたおばあさんが、女性に声をかけました。
おばあさんの一言に、女性は何も言えなくなった
「自分の家のぶんの落ち葉くらい、自分で掃きなさいよ」
おばあさんは、落ち着いた声ではっきりと言いました。
女性が驚いたように顔を上げると、おばあさんは続けました。
「みなさん、わざわざ私のところを手伝いに来てくださってるのよ。あなたの家の分までお願いするわけにはいかないでしょう」
女性は何か言いかけましたが、言葉が出てきません。
顔を赤くして視線を落とし、そのまま黙りこんでしまいました。
私たちもそれ以上は何も言わず、残っていた落ち葉の片付けを再開しました。
しばらくして掃除が終わり、私たちはおばあさんの家の前で少し立ち話をしていました。
普段は挨拶を交わす程度でも、こうして自然に助け合えるのはありがたいことです。
そんな話をしていると、通りの先に先ほどの女性の姿が見えました。
自分の家の前で、ひとりでほうきを動かしていたのです。
「あら、自分で掃き始めたのね」
隣にいた奥さんが小さくつぶやき、私たちは顔を見合わせて少し笑いました。
困ったときに助け合えるのは素敵なことです。
でも、その親切を当たり前だと思ってはいけないのだと感じた朝でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














