「あんた絶対さくらでしょ」マッチングアプリで出会った男。30分疑う男に飲み物代を叩きつけて去った日の解放感
テンポが合うと思っていた相手
マッチングアプリを使い始めてから、何人かとやり取りを続けていた。
大半は途中で返信が途絶えるか、会う前に気持ちが冷める展開ばかりだった。
そんな中で、ひとりだけテンポが合う男性がいた。
自慢話も押しつけも少なく、こちらの返信に丁寧に反応してくれた。
直接話してみたいと素直に思えた。
約束の日、駅近くのカフェで向かい合った。アイスコーヒーが運ばれてきた頃、軽い自己紹介を始めた。住んでいる場所や仕事の話を少ししたところで、相手の目の色が変わった。テーブルに手を置き、こちらをじっと見て言った。
「あんた絶対さくらでしょ」
急に「あんた」呼ばわりだった。
聞き間違いかと思ったが、表情は真剣だった。
30分続いた一方的な疑い
「違います」と返した。
でも相手の表情は変わらなかった。次から次へと、別の言い方で同じ疑いを投げてきた。
「自分からさくらなんて言わないでしょ」「業者の研修受けてるんでしょ」「正直に認めなって」。
30分、ずっとこの調子だった。登録のきっかけも、これまでのやり取りも丁寧に説明した。でも何を言っても跳ね返された。相手は私の言葉を聞いているのではなく、自分の疑いを確かめるための材料として受け取っているようだった。
(もうここにいる必要はない)
胸の中が、ふと静かになった。怒りより前に、不思議な落ち着きが来た。アイスコーヒーを一気に飲み干し、財布を取り出して立ち上がった。
飲み物代を叩きつけて去った
レジには向かわなかった。テーブルに、自分の飲み物代きっかりの硬貨を置いた。相手の分には手をつけなかった。音を立てて置いた硬貨が、テーブルの木目の上で小さく鳴った。
相手は何か言おうと口を開いた。私は構わず短く告げた。
「初対面でその態度、ありえないんで」
振り返らずにドアへ向かった。外に出た瞬間、肩から重いものが落ちた感じがした。悔しさより先に、解放感の方が強かった。
あの男性にも事情があったのかもしれない。アプリで嫌な経験を重ねれば、疑い深くなるのも無理はない。でも、それを初対面の相手にぶつけるのは別の話だ。信じてもらえない場所に居続ける必要はなかった。
翌日、改めてアプリを開いた。急がなくていい。次は、ちゃんと話を聞いてくれる相手とやり取りすればいい。そう思えた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














