「店員のくせに口答えか!」長い列を待てずにキレた客。だが、他の客の正体に態度が一変
混雑のレジで怒鳴り出した客
レジ担当が急な欠員で、その日は一人で会計をさばいていました。昼どきの列はあっという間に伸び、待ち時間は20分を超えていきます。
額に汗がにじんでも、手を止めるわけにはいきません。一人でも早く、次の方をご案内しなければ。
私の前のお客様は、支払い方法を迷っておられました。私は「どちらでも大丈夫ですよ」と案内します。
すると、少し後ろに並んでいた男性が、苛立った様子で割り込んできました。
「もたもたするな、こっちは急いでるんだ」
「申し訳ございません。順番にご案内しております」
丁寧に頭を下げた私に、男はさらに声を張り上げました。
「店員のくせに口答えか!」
店内が静まり返りました。理不尽な怒声に、手が小さく震えます。それでも、前のお客様を急かすわけにはいきません。
「お待たせして申し訳ありません」
謝ることしかできない自分が、情けなくてたまりませんでした。
男は舌打ちをして、なおも食い下がります。
「こんな店、二度と来るか。責任者を呼べ!」
割って入った客の正体
そのとき、列に並んでいた一人の男性が、静かに歩み出てきました。声を荒げるでもなく、淡々とした口調です。
「さっきから聞いていましたが、店員さんは何も間違っていません」
怒鳴っていた男が、彼をにらみつけます。
「関係ない奴は黙ってろ」
男性は落ち着いたまま、上着の内ポケットから警察手帳を取り出しました。非番の警察官だったのです。
「続けるなら署へ」
警察官は男に向かって、静かに付け加えました。
「大声で威圧するのも、立派な迷惑行為ですよ」
その言葉に、威勢のよかった男の顔から、さっと血の気が引いていきました。周囲のお客様も一斉にどよめきます。男は何か言い返そうと口を開きかけましたが、言葉が出てきません。
「い、いや、俺は別に……」
しどろもどろになった男は、絶句したまま、逃げるように列を離れていきました。あんなに大きかった声は、もう聞こえません。
張り詰めていた列の空気が、ふっとゆるみます。近くにいた年配の女性が、うなずきながら私を見てくれました。
警察官は手帳をしまうと、何事もなかったように会釈をして、また列に戻っていきました。並んでいたお客様が、私に温かい言葉をかけてくれます。
「気にしないで。あなたはよくやってるよ」
張り詰めていた気持ちが、その優しさにそっとほどけていきました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














