「オムツ替えは、嫁が全部しなさい」祖母から届いた手紙。孫の顔見せで本音を言わなかった祖母に絶句
ひ孫の顔を見せた、静かな午後
息子が生まれて三か月目に、夫の祖母の家へ顔を見せに行きました。
「よく寝る子だねえ。誰に似たのかしら」
縁側の障子は開け放たれていて、風の音まで聞こえる家でした。九十を過ぎても、祖母は自分でお茶を淹れて、自分で運んできます。
「お構いなく。すぐお暇しますので」
「そんなこと言わないで、ゆっくりしていって」
抱いていた息子が身をよじり始めたのは、湯呑みが半分ほど減った頃です。においで、すぐに分かりました。
「ごめん、カバンからオムツ出してくれる?」
夫が荷物の中を探ります。
「これ?おしり拭きも出しとくわ」
畳を汚さないようにタオルを敷いて、二人で手分けして替えました。祖母は湯呑みを持ったまま、じっと座っています。
何も言いません。にこにこと、こちらを見ているだけでした。
「お騒がせしました。すぐ片付けますので」
「気にしなさんな。うちは、汚れて困るものなんてないよ」
そう言って、祖母は息子の小さな手を、しわだらけの指で包みました。
「またおいで。元気でね」
玄関で見送られて、その日は終わりました。
それだけの、なんでもない訪問だったはずなのです。
便箋の二枚目に、書かれていたこと
二週間ほど経って、義母から電話がありました。
「おばあちゃんから手紙が来たのよ。あなたたちのことで」
週末、義母の家のテーブルに、その便箋が広げてありました。
細くて、几帳面な字です。
「オムツ替えは、嫁が全部しなさい」
そう読める一節が、二枚目の真ん中にありました。夫に手伝わせるものではない、という意味だそうです。
そしてもう一行、人前で夫を愛称で呼ぶのはいかがなものか、と続いていました。
あの日、私が夫を呼んだのは一度きりです。オムツを取って、それだけ。
「聞こえてたんですね」
「聞こえてたどころじゃないでしょ、これ。日付まで書いてあるもの」
背中が、すっと冷たくなりました。笑って湯呑みを包んでいた手の向こうで、祖母は私の声を一つ残らず拾っていたのです。
しかも、その場では何も言わない。二週間かけて便箋に清書して、義母のところへ送る。
「おばあちゃん、私には直接おっしゃらないんですか」
「言わないの。昔から、そういう人」
夫は隣で、黙って湯呑みを見つめていました。夫の祖母のことです。私から、どうこう言えるはずもありません。
次に帰省したとき、祖母はいつもと同じ笑顔で迎えてくれました。
お茶を淹れて、息子の頬をつついて、また来てねと手を振ります。あの日と、何一つ変わりません。
その笑顔の下で、今度は何枚目の便箋が用意されているのか。確かめる術は、私にはないのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














