「あなたには関係ないでしょ」28万円の封書を隠した彼女。半年後、私が同棲を終わらせた理由
布巾の下に消えた封書
二度目の封書が届いたのは、前の月とほとんど同じ日の朝だった。
差出人は、前回と同じ貸金業者だった。
前の月、彼女が封書を開けたあと、書類をテーブルに置いたことがある。
そのとき偶然、「28万円」という数字が目に入った。
台所へ持っていくと、彼女はコーヒーの粉を量る手を止めた。
「また同じところから来てるよ」
「…いいから、渡して」
彼女はすぐに手を伸ばした。
「前に見えた28万円って、まだ残ってるの?」
そう聞くと、彼女の表情が変わった。
「あなたには関係ないでしょ。今はその話したくない」
「でも、一緒に暮らしてるんだから、気にはなるよ」
「大丈夫だから」
彼女は封書を食器棚の引き出しに入れ、上から布巾を重ねた。そこまで拒まれると、私もそれ以上は聞けなかった。
同棲を始めたとき、生活費はお互い5万円ずつ出すと決めていた。
ところが半年前から、彼女が出すのは3万円になった。
「今月ちょっと厳しくて。来月には5万円に戻すから」
最初はそう言われて、私も深く考えなかった。
けれど翌月も、その次の月も3万円だった。足りない2万円を私が補い、毎月7万円を負担する状態が半年続いた。
その夜、通帳と家計ノートを見直した。家賃や光熱費をたどっていくと、半年間ずっと同じ状態だったことが改めて分かった。
靴箱の上に置いた鍵
週末、私は家計ノートを彼女の前に置いた。
「これ、一回ちゃんと見てほしい」
「何?」
「半年ずっと、俺が7万円出してる」
彼女は数字を追いながら、少し黙った。
「…そんなに長かったっけ」
「半年だよ。最初は一か月だけだと思ってた」
「だったら、もっと言ってくれればよかったじゃん」
その言葉には、さすがに黙っていられなかった。
「言ったよ。生活費のことも聞いたし、あの封書のことも聞いた。でも『大丈夫』って、それで終わったじゃないか」
彼女は視線を落とした。
「今は3万円しか出せないけど、余裕ができたらちゃんと戻すつもりだった」
「いつ戻せるの?」
「…それは、まだ分からない」
私は少し黙ってから言った。
「じゃあ、一緒に暮らすのは今月で終わりにする。急に家賃が増えると困るだろうから、来月分までは俺が出すよ」
彼女が顔を上げた。
「待ってよ。そこまでしなくてもいいでしょ」
「俺だって、そう思いたかったよ。でも、お金のことを何も話してもらえないまま穴埋めするのは、もうしんどい」
彼女は何も言わなかった。
月末、荷物をまとめて部屋を出た。約束した翌月分の家賃は、前の日に振り込んである。
玄関で靴を履き、私が使っていた合鍵を靴箱の上に置いた。
「じゃあ、行くよ」
台所にいた彼女は、しばらくしてから小さく「うん」と返した。
半年間多く出した生活費は戻ってこなかった。それでも、「来月には変わるかもしれない」と待ち続ける生活は、そこで終わった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














