「熱くらいで休ませるの?ちょっと心配しすぎじゃない?」子どもの発熱をめぐって何度も口を出してきたママ。役員決めでも感じた違和感
休ませると伝えただけの夜に、届いた一通
子どもが夕方から熱を出した日のことだ。
園のママたちとのやりとりの中で子どもの体調の話になり、私は「明日は休ませるつもり」と短く書いて送った。
「大丈夫?」「早く下がるといいね」と返事がいくつか並んだあと、個別にメッセージが届いた。
送り主は、同じクラスのママだった。
入園したころから気さくに話しかけてくれる人で、最初は心強いと思っていた。
「熱くらいで休ませるの?ちょっと心配しすぎじゃない?」
画面を見たまま、私はしばらく返事ができなかった。
その日のうちに熱が下がるかもしれない。それでも朝になって無理をさせたくはなかった。ただ、それをわざわざ説明する気にもなれなかった。
結局、返事をしないまま眠った。
ところが翌朝、またその人から届いた。
「私なら、そのくらいなら行かせちゃうけどな」
悪気はないのかもしれない。そう思おうとしたが、朝から少し疲れてしまった。
その週、園の門の前で顔を合わせた。近くにはほかのママも二人いた。
「この前、大丈夫だった?」
「うん。もう熱は下がったよ」
そう答えると、その人は安心したように笑ったあと、さらっと続けた。
「やっぱりちょっと心配性なんだね。私だったら、そこまで気にしないかも」
「そうかな…子どものことだと、どうしてもね」
私は曖昧に笑って、その場を離れた。
冗談のつもりなのか、本当にそう思っているのかは分からない。ただ、それからは顔を見ると、また何か言われるのではないかと少し身構えるようになった。
役員を決める会があったのは、その翌月だ。
遊戯室には長机が並び、名簿が端から回っていた。なかなか希望者が出ず、話し合いは二時間近く続いていた。
名簿が私の前まで来たとき、その人がこちらを見た。
「ねえ、やらないの?」
「え?」
「だって、昼間は家にいるんでしょ?だったら動きやすくない?」
思わず言葉に詰まった。
「私、週四でパートに出てるよ。前にも話したと思うけど…」
「あ、そうだっけ。でもフルタイムじゃないなら、まだ時間あるでしょ?」
そこまで言われるとは思わず、私は名簿に目を落とした。
うしろの席から、声がした
司会をしていたママが「いったん皆さんの都合を確認しましょうか」と口を開いたとき、うしろの席から声がした。
「すみません。仕事してるかどうかだけで決めるのは、ちょっと違うんじゃないですか」
振り返ると、ふだんはあまり話さないママだった。送り迎えの時間も違い、ほとんど挨拶しかしたことがない。
その人は少し困ったような顔で続けた。
「それぞれ事情もあるでしょうし…できる人が、できる範囲で考えたほうがいいと思います」
司会のママもすぐにうなずいた。
「そうですね。勤務時間だけでは分からないこともありますし、いったん条件を整理しましょう」
私に声をかけてきたママは、「まあ、そうだけど」と小さく言い、それ以上は何も言わなかった。
そのあと、役員の仕事の内容や集まる回数を確認しながら、改めて希望者を募ることになった。
しばらくして二人が手を挙げ、ようやくその日の話し合いは終わった。
帰り道、自転車を押していると、さっき声を上げたママが後ろから追いついてきた。
「さっき、急に口を出してごめんね」
「ううん。助かった。何て返そうか分からなくなってたから」
私がそう言うと、その人は少しだけ笑った。
「聞いてて、ちょっと気になっちゃって。働き方だけで暇かどうかなんて分からないしね」
「……ありがとう」
「いやいや。私も言われたら困るなって思っただけ」
角まで来ると、その人は「じゃあ、またね」と手を上げて曲がっていった。
大げさにかばってもらったわけではない。ただ、あの場で「それは違うんじゃない」と言ってくれた人がいたことが、思っていた以上にうれしかった。
次の朝、園の門で会ったとき、私たちは顔を見合わせて小さく会釈した。それだけだったけれど、私は前の日より少し気楽な気持ちで門をくぐることができた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














