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2026.09.19(Sat)

「最近、前より少し早く出てる?」挨拶だけだった隣人が知っていた私の生活時間。玄関で後ろを振り返るようになった理由

「最近、前より少し早く出てる?」挨拶だけだった隣人が知っていた私の生活時間。玄関で後ろを振り返るようになった理由

話した覚えのないことばかり

2年前、30代のはじめの頃、僕は週5日の仕事に通いながら、単身者向けのアパートで暮らしていました。

同じ階には30代後半に見える男性が住んでいました。顔を合わせれば「どうも」と頭を下げる程度で、それ以上の付き合いはありませんでした。

ところが、ある時期からその男性が妙に話しかけてくるようになりました。

最初は郵便受けの前でした。

「昨日、帰るの遅かったね」

突然そう言われて、僕は一瞬返事に困りました。

「ああ……そうでしたっけ」

「うん。結構遅い時間だったからさ」

男性は世間話でもするように笑い、そのまま自分の部屋へ戻っていきました。

たまたま見かけたのだろうと思いました。

ところが数日後、階段の踊り場で会ったときにも、また同じようなことを言われました。

「昨日も遅かったね。仕事、忙しいの?」

「まあ、ちょっと……」

曖昧に答えながら、今度は少し引っかかりました。

その週末、実家の兄と電話をしたとき、僕は何となくその話をしました。

「同じ階の人にさ、『昨日帰るの遅かったね』って、もう2回言われたんだよ」

「よく見てるな、その人」

「帰る時間なんて、一度も話したことないんだけど」

「まあ、同じ階なら偶然会ったり、物音で分かったりするんじゃないか?」

「…そうだよな」

兄にそう言われると、自分が気にしすぎているだけのような気もしました。

けれど、その後も男性の言葉は続きました。

朝に顔を合わせれば、

「最近、前より少し早く出てる?」

休日のあとには、

「土曜、出かけてたよね。どこか行ったの?」

どれも、それだけなら不自然とは言い切れない内容でした。

それでも、聞かれるたびに「また知っている」と思うようになり、だんだん笑って返せなくなっていきました。

「なんで知ってるんですか」

特に気になったのは、ある朝のことでした。

ゴミを出しに集積所へ行くと、先に来ていた男性がネットを押さえながらこちらを見ました。

そして何でもないことのように、

「昨日、新しくできたコンビニ寄ってたよね」

と言ったのです。

僕は思わず男性の顔を見ました。

その店に寄ったのは、夜遅くに一人で帰宅する途中でした。

「……なんで知ってるんですか?」

自分でも驚くほど硬い声が出ました。

男性は少し目を丸くしました。

「え?いや、たまたま近くで見かけただけだよ」

「ああ……そうなんですか」

「別に変な意味じゃないから」

そう言って笑う男性に、僕はそれ以上何も聞けませんでした。

実際、男性に何かをされたわけではありません。部屋の前で待たれたわけでも、後をつけられたと確認できたわけでもありません。

だからこそ、「やめてください」と言うのも大げさな気がして、どう対応すればいいのか分かりませんでした。

それから僕は、帰宅するときに以前より周囲を気にするようになりました。

そんなある夕方、いつもより少し早く帰り、階段を上がりきったところで男性の部屋のドアが開きました。

「あれ、今日は早いんだね」

僕は足を止めました。

「……そうですね」

それだけ答えて、自分の部屋へ入りました。

鍵を閉めたあと、なぜかすぐには玄関から離れられませんでした。

男性の一言一言には、どれも説明をつけようと思えばつけられます。

それでも、玄関の前に立つたびに後ろを振り返る癖がついてしまいました。

数か月後、僕はそのアパートを引っ越しました。

男性とは、それきりです。

新しい住所は、以前のアパートの住人には誰にも伝えませんでした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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