「彼氏が途切れなかったんです」友人代表が新婦の昔の恋愛を口にした披露宴。気まずい空気の中、新郎が新婦を見て伝えた一言
友人代表のマイクから、昔の話がこぼれた
2年ほど前、大学時代の友人の結婚式に出席した。新郎とはその日が初対面だったが、披露宴が始まる前に挨拶すると、「今日は来てくださってありがとうございます」と穏やかに頭を下げてくれた。
披露宴の後半、新婦側の友人代表のスピーチが始まった。マイクの前に立ったのは、新婦と同じ会社で働く女性だった。
「仕事では本当に頼れる人で、後輩が困っていたら放っておけないんです。でも、お昼休みになるとずっとしゃべってますけどね」
会場から笑いが起きた。私も、昔から面倒見のいいところは変わっていないなと思いながら聞いていた。
ところが、話が恋愛の思い出に移ったあたりから、少し空気が変わった。
「本人から昔の恋愛話も聞いてるんですけど、本当にモテてたみたいで。彼氏が途切れなかったんですよ」
隣に座っていた大学時代の友人が、ちらりと私を見た。
「…それ、ここで言う?」
「俺もちょっと思った」
女性は笑い話のつもりだったのかもしれない。少し間を置くと、もう一度続けた。
「ほんとなんですよ。昔は恋愛の話が多くて、彼氏が途切れなかったんです」
今度はほとんど笑いが起きなかった。
新婦は笑顔を保っていたものの、視線を膝の上へ落としていた。
隣の友人が小さな声で言った。
「もう、その話はいいだろ…」
私も同じ気持ちだった。
新郎が立ち上がり、マイクを受け取った
やがてスピーチが終わると、司会者が「ありがとうございました」と言って拍手を促した。
そのとき、新郎が席を立った。
「すみません、少しだけいいですか」
近くのスタッフからマイクを受け取ると、新郎は少し困ったように笑った。
「僕が知らない昔の話も、もちろんたくさんあると思います」
そこで一度、新婦のほうを見た。
「でも、僕が一緒に過ごしてきた彼女のことは、ちゃんと知っているつもりです。これからも二人でやっていけたらと思っています」
最後に新婦へ向かって、少し照れたように、
「これからもよろしくね」
と言った。
新婦は一瞬驚いた顔をしたあと、目元を押さえながら笑った。
会場から大きな拍手が起こった。
隣の友人も手をたたきながら、
「……いい人だな」
とつぶやいた。
お開きのあと、ロビーへ向かいながら友人が言った。
「あの恋愛の話は、さすがに言いすぎだったよな」
「うん。でも新郎さん、誰かを責める言い方しなかったな」
見送りの列の先では、新婦が新郎の腕にそっと手を添え、二人でゲストに頭を下げていた。
友人を言い負かすのではなく、自分が知っている新婦のことだけを話した新郎。その短い言葉が、帰り道までずっと心に残っていた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














