「えっ、誰?関係なくない?」会計でもめる女性3人に数円を出した私。夕方、男性3人が私の席を囲んだ瞬間
数円の不足をめぐって続いた押し問答
十数年前の昼下がり、私はファミリーレストランでノートにネタを書いていました。
レジに近い席でドリンクバーをおかわりしながら、のんびり過ごしていたときのことです。
店内にいた客は、私と、奥の席でお酒を飲んでいた若い女性3人組だけでした。
しばらくして、その3人が会計に向かいました。
すると、店員さんの困ったような声が聞こえてきたのです。
「すみません、あと数円足りないんですが…」
「えっ、なんで?ちゃんと払ったよね?」
「うん。小銭も全部出したよ」
どうやら3人は、税抜きの金額をもとに割り勘をしてしまったようでした。
店員さんは受け取った小銭をすでにレジへ入れており、あとから不足に気づいた様子です。
しかし、女性たちは自分たちが正しい金額を払ったと思っているため、納得しません。
「足りないって言われても困るんだけど。ちゃんと確認したの?」
お酒で顔を赤くした女性たちの声は、次第に大きくなっていきました。
店員さんは何度も頭を下げて説明していましたが、押し問答は5分ほど続きます。とうとう、その目には涙がにじんでいました。
さすがに見ていられなくなった私は、ペンを置いて席を立ちました。
「何がおかしいの?足りない分は私が払いますよ」
すると、女性のひとりが驚いたように振り向きました。
「えっ、誰?関係なくない?」
「まあ、そうですけど。数円のことですし、私が出しますよ」
私はそれ以上言い争わず、不足していた数円をトレーに置きました。
女性たちは何か言いたげな様子でしたが、そのまま店を出ていきました。
店員さんは丁寧にお礼を言ってくれましたが、私はなんとも複雑な気持ちでした。
ほんの数円のことで、ここまで揉めるものなのかと思ったのです。
夕方、私の席に現れた男性3人
その後も店に残ってノートを書き続け、夕方になったころです。
そろそろ帰ろうかとノートを閉じると、体格のいい強面の男性が入ってきました。
男性は私の席の前まで来ると、突然、深く頭を下げたのです。
「昼間は、うちのが本当に失礼しました」
「えっ……昼間?」
突然のことで戸惑っていると、男性は昼間の女性のひとりの夫だと話しました。
さらに、スーツ姿の男性がやってきて、別の女性の夫だと名乗ります。
最後に現れた若い私服姿の男性は、もうひとりの女性の兄でした。
気づけば、私の席のまわりには男性3人が立っていました。
若い男性が、申し訳なさそうに口を開きます。
「妹が計算を間違えていたそうで…。それなのに店員さんに文句まで言ったと聞いて。本当にすみません」
そう言うと、3人はそろって頭を下げました。
レジの向こうでは、昼間の店員さんが手を止めてこちらを見ていました。
すると、最初に来た強面の男性が、お札を差し出してきたのです。
「本当に申し訳ありません。せめて、これで夕飯でも食べてください」
「いやいや、そんな。数円のことですから、お金は受け取れませんよ」
それでも男性は、申し訳なさそうな顔をしています。
「大丈夫です。ちょうどお腹もすいてきたので、ここで定食でも食べて帰ります。もう気にしないでください」
私がそう伝えると、3人はもう一度深く頭を下げて帰っていきました。
突然の出来事に驚きましたが、わざわざ謝りに来てくれたことが意外で、少し気持ちが和らぎました。
そのあと、今度は店長が私の席にやってきました。
「昼間はありがとうございました。よろしければ、お食事をこちらでご用意させてください」
恐縮しながらも、その申し出をありがたく受けることにしました。
しばらくすると、テーブルに運ばれてきたのは、熱い鉄板にのったステーキでした。
「えっ、こんな立派なものを……ありがとうございます」
数円を立て替えただけなのに、思いがけない夕食をいただくことになり、驚くばかりでした。
昼間の女性たちの態度には困惑しましたが、家族がわざわざ頭を下げに来てくれたことは、今でも印象に残っています。
あの女性たちが家でどれだけ叱られたのかは、今も知りません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














