「座れって言ってんだろ!」運動会でゴール横に立つ私を怒鳴った保護者。私の名札を見た途端、態度が一変
運動会でゴールの判定を担当していた私
教員として長く働いていますが、今でも忘れられない運動会での出来事があります。
その日、私は徒競走の着順判定を担当していました。
胸には係の名札をつけ、ゴールのすぐ横で子どもたちが走ってくるのを待っていました。
記録用の写真を撮るのも私の役目です。
ゴール付近は着順を確認しやすい反面、後ろの保護者席から見ると、私が立つことで一部が見えにくくなってしまう場所でもありました。
次の組の子どもたちがカーブを抜けてきました。私はゴールの様子を確認しようと立ち上がり、カメラを構えました。
すると、背後から男性の声が聞こえてきたのです。
「おい、そこ。邪魔だって」
一瞬、私に言っているのかと思いましたが、子どもたちはもうゴール目前です。
振り返らず、そのまま着順の確認を続けました。
「座れって言ってんだろ!」
先ほどよりも大きな声でした。
近くの保護者たちが声のするほうを振り返っています。
どうやら男性は、私を写真撮影のために前へ出てきた保護者だと思っているようでした。
ゴールした女の子が、心配そうに声をかけてきました。
「先生、あの人怒ってるよ」
「大丈夫だよ。旗のところに並んでね」
私は女の子にそう伝え、次の対応に戻りました。
事情を知った男性が取った行動
「ちょっと、聞こえてる?」
男性はまだこちらに声をかけていました。
すると、近くに座っていた女性の保護者が男性に話しかけました。
「あの、あの方は先生ですよ。ゴールの判定をしているんです」
「えっ、先生?」
男性の声が急に小さくなりました。
ちょうどレースが一区切りついたので、私は振り返り、男性のほうへ軽く会釈しました。
すると女性が、私の胸元を指して言いました。
「ほら、名札もついてますよ」
男性は私の名札を見ると、少し驚いたような顔をしました。
「あ……そうだったんですか」
それだけ言うと、男性は視線を落とし、かぶっていた帽子を深くかぶり直しました。
先ほどまでこちらに向かって大声を出していた男性でしたが、帽子のつばで顔が隠れ、今度は表情がほとんど見えません。
私も何か言い返すつもりはなかったので、そのまま仕事に戻りました。
近くにいた保護者の何人かが、申し訳なさそうに小さく会釈をしてくれました。
そのとき、着順の旗のところに並んでいた女の子が、こちらに手を振りました。
「先生、次も見ててね!」
「うん、ちゃんと見てるよ」
思わず笑顔になり、私は再びゴールへ向き直りました。
結局、その男性が再び怒鳴ることはなく、運動会はそのまま進んでいきました。
保護者にとって、わが子の走る姿をしっかり見たい気持ちは当然あると思います。ただ、私も仕事としてそこに立っていたのです。
お互いの立場が伝わっていれば、あんなやり取りにはならなかったのかもしれません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














