「早い者勝ちでしょ」旅行先のフードコートで席を横取りされた私たち。だが、隣のテーブルにいた母親が声をかけてくれた
子どもを抱えて待っていた、もうすぐ空くはずの席
家族4人で旅行に出かけた日のお昼、旅先のフードコートは大勢の人で混み合っていました。
夫は両手にトレーを持ち、上の子も自分の分のトレーを抱えています。
私は眠そうな下の子を抱っこしながら、空いている席を探していました。
しばらく歩き回っていると、夫が声をかけてきました。
「あそこ、もう食べ終わりそうだよ」
見ると、若い二人連れがテーブルの上を片づけ始めています。
私たちは通路をふさがないように少し後ろで待つことにしました。
「やっと座れるね」
上の子もほっとした様子です。
ところが、二人連れが立ち上がった瞬間、40代くらいの女性が横から入ってきて、空いた椅子に座ってしまったのです。
その女性は、私たちが待っている間も近くにいて、何度かこちらを見ていました。
驚いた私は、思わず声をかけました。
「すみません。私たち、ここが空くのを待っていたんですが…」
すると女性は、少し面倒そうな表情で答えました。
「でも、もう空いたんですよね。早い者勝ちでしょ」
「あ……そうですか」
思いがけない返事に、それ以上の言葉が出ませんでした。
「うちはもう食べ終わったので」隣の母親からの一言
女性はそのまま紙袋を隣の椅子に置き、向かいの椅子には上着を掛けました。
そして、何事もなかったように食事を始めたのです。
私たちのほうが先に待っていたのに、と納得できない気持ちはありました。
それでも、子どもを抱えたまま言い合いになるのは避けたくて、私は夫と顔を見合わせました。
そのとき、抱っこしていた下の子がぐずり始めました。
「ママ、おなかすいた」
上の子も待ちきれない様子です。
「もう少しだけ待ってね」
そう声をかけていると、隣のテーブルから女性が話しかけてきました。
30代くらいの夫婦と男の子の家族で、ちょうど食事を終えたところでした。
「さっきから待ってましたよね。うちはもう食べ終わったので、よかったらここどうぞ」
私は驚いて聞き返しました。
「えっ、いいんですか?」
「はい。もう出るところなので」
「ありがとうございます。本当に助かります」
夫も頭を下げると、母親は笑顔で「いえいえ」と返してくれました。
その母親が、先ほど席に座った女性のほうへちらりと目を向けました。
女性は一瞬こちらを見ましたが、すぐに視線を落とし、黙って食事を続けていました。
私たちは空けてもらったテーブルにトレーを置き、ようやく座ることができました。
帰り際、男の子が上の子に手を振ってくれました。
「ばいばい」
そんな何気ないやり取りにも、気持ちが和らぎました。
すぐ隣では、先ほどの女性が一人で食事をしていました。やがて食べ終えると、荷物をまとめて足早に去っていきました。
席を横取りされたときは、正直かなり腹が立ちました。
でも、隣の家族が声をかけてくれたおかげで、子どもたちを座らせることができました。
上の子のラーメンを小皿に取り分けながら、私は遠ざかっていく家族に、もう一度頭を下げました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














