「上の人に代わって」契約の話で私を責め続けた男性客。上司が電話番号を確認した途端、返事がなくなった理由
待っている表示が増えていく昼の電話
入社して間もないころ、私は契約に関する問い合わせを受けるコールセンターで働いていました。
昼どきは特に電話が多く、まわりの席でもオペレーターたちが休みなく対応していました。
そんなある日、契約について不満を抱えた男性客から電話が入りました。
男性は最初から、上の者に代わるよう求めてきました。
私は決まりに従い、まずは事情を伺おうとしました。
「分かりました。じゃあ、最初から説明しますから、ちゃんと聞いてくださいね」
男性の口調は丁寧でしたが、話し始めると止まりません。
しかも、男性が話す料金の仕組みや手続きは、私の知る当社のサービスとはどうも違っていました。
「あの、恐れ入ります。ご契約を確認させていただきたいのですが…」
「いま話しているでしょう。口をはさまないで」
「申し訳ありません。ただ、お話の内容が…」
「だから、最後まで聞いてくださいよ!」
何度も確認しようとしましたが、そのたびに言葉を遮られます。
画面の隅では、電話を待っているお客様の件数が増えていました。
ほかのお客様もお待たせしている。
そう思うほど焦りが募りましたが、目の前の電話を終わらせることもできませんでした。
「上の人に代わって」と言われた私
しばらくすると、男性は大きく舌打ちをしました。
「さっきから同じことばかり聞いて。素人に話しても時間の無駄だ」
「申し訳ございません。確認ができないと、こちらも…」
「もういいです。上の人に代わって」
それまで必死に話を聞いていた私は、思わず唇をかみました。
こちらの説明には耳を貸してもらえず、最後には自分の対応が悪いと言われてしまったのです。
私は電話を保留にして手を挙げ、上司に対応をお願いしました。
上司は私の隣に座り、状況を聞くと、ヘッドセットを受け取って電話に出ました。
「お電話代わりました。ご不便をおかけして申し訳ありません。まず、ご利用中のお電話番号を教えていただけますか?」
男性は番号を伝えました。
上司は画面を確認していましたが、途中で指を止めました。
「お客様、恐れ入ります。その番号では、当社のご契約を確認できませんでした」
電話の向こうが静かになりました。
上司は続けました。
「それと、お話にあった料金やお手続きも、当社のものとは違うようです。別の会社とのご契約ではありませんか?」
男性から返事はありません。
「お手元の書類にある会社名を、一度確認していただけますか?」
しばらく沈黙が続いたあと、電話はそのまま切れてしまいました。
どうやら男性は、別の会社の契約について問い合わせていたようです。
上司はヘッドセットを外すと、私に返しながら言いました。
「大丈夫。さっきの聞き方で間違ってないよ。うちの契約じゃなかったんだから」
その言葉を聞いて、胸の奥にたまっていた緊張がようやくほどけました。
向かいの席の同僚も、電話を受けながら小さく親指を立ててくれました。
私は深く息を吐き、ヘッドセットをつけ直しました。
入社したばかりで自信のなかった私にとって、上司の「間違ってないよ」という一言が何よりありがたく感じられた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














