「ちゃんと並んでください!」回転寿司の列を抜かす客。だが、ギャル風の店員が注意すると、状況が一変
誰も何も言えなかった
週末の回転寿司チェーン。整理券の列に並んで、スマホを見ながら順番を待っていた。
前が少し詰まったタイミングで、列の横から女性たちが、すっと入ってきた。
50代くらいで、仲間同士でおしゃべりしながら笑っていた。悪意があるようには見えなかった。ただ列がそこにあることが見えていないかのような、無頓着な動き方だった。
後ろに並んでいた全員が気づいていた。でも誰も声を上げなかった。知らない人に注意するのは気が引けるし、相手が複数では余計に言い出しにくい。諦めに似た感覚が列全体に漂って、みんながゆっくりと視線を前に戻した。
自分だけがそう感じているわけではないとわかっていたが、それがかえって重かった。わかっていても動けないその空気が、じわじわと不快だった。
店員が近づいてきた
そのとき、フロアからひとりの店員がすたすたと歩いてきた。
若い女性で、ネイルが鮮やかなギャル系のスタッフだった。入口付近で接客していたのか、状況をどこかで見ていたらしかった。
彼女は割り込んだ一団のすぐ近くに立ち、はっきりとした口調で言った。後ろに並んでいるお客様もいます、と前置きしてから、まっすぐに告げた。
「ちゃんと並んでください!」
まわりがしんと静まり返った。
50代の女性たちは少し動揺した顔で「知り合いが前にいて声をかけようとしただけで…」と言い訳したが、店員は眉一つ動かさず列の後ろを示した。3人は目を合わせながら、黙って最後尾へ移動した。
整理券を手にしてから振り返ると、3人はもう普通の顔で並んでいた。何事もなかったように話しながら。少しだけ離れて、静かに順番を待っていた。
言えなかった側が感じたこと
列が元に戻った後、前後の客とちらりと視線が合った。言葉はなかったけれど、場の空気がほんのり解けた気がした。
あの一言は「後ろに並んでいるお客様」のためのものだった。
声を上げられなかった全員の代わりに、誰かが動いてくれた。外見とか年齢とか関係なく、ただやるべきことをやった一言だった。そこに悪意も過剰な感情もなかった。だから余計に、すっきりした。
家に帰ってからも、毅然としていたあの店員の背中と、自分が黙っていたこととが、しばらく頭を離れなかった。次に同じような場面に出くわしたとき、自分はどうするだろうと少し考えた。ああいう一言は、ためらった瞬間に消える。だから迷わず動ける人が、あの場の一番の功労者だったと思う。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














