「相続のときに、それが一番簡単だから」と息子を養子にと迫る義実家。だが、高校生の息子の一言で状況が一変
夫まで乗り気だった夜
二世帯住宅で、義母と独身の義兄との同居が始まった。
まだ荷ほどきの段ボールも残る、引っ越しから1ヶ月ほど経った頃のことだ。
その晩、義母が思いついたように切り出した。子のいない義兄に跡取りがいないから、高校生の息子を義兄の養子にしてはどうか、という話だった。
「相続のときに、それが一番簡単だから」
義母は当然のように言う。
書類だけの話で、親であることは変わらないと。とんでもない提案に、私は固まってしまった。
もっと驚いたのは、隣で聞いていた夫の反応だった。
「戸籍上は違うけど親なのは変わらない」
夫まで乗り気だったのだ。
実の息子を、まるで相続の手続きの一部みたいに扱う。その軽さに、目の前が暗くなった。
本人に決めさせた
「そういう問題じゃない。うちには娘もいる」
私はなんとか言葉を絞り出した。
「息子だけが相続の犠牲になったって、一生恨むよ」
けれど義母も夫も、本気で取り合おうとはしなかった。大人だけで勝手に決める話ではない。
私は息子を呼んで、何が起きているのかを正直に伝えることにした。
息子は黙って最後まで聞いていた。そして、義母をまっすぐ見て言った。
「最低だ、婆ちゃん気持ち悪いよ」
その一言で、場の空気が凍った。義母の表情がこわばり、頬から血の気が引いていく。
「あなたのためを思って言ってるのよ」と義母は反論しかけたが、声がだんだん小さくなって、最後は黙り込んでしまった。
乗り気だった夫も、決まり悪そうにうつむいたまま何も言わない。あてにしていた孫から正面切って拒まれて、義母はもう一歩も踏み込めなかった。
「自分の戸籍くらい、自分で決める」
息子はそう言って席を立った。残された義母は、しばらく言葉もなくうなだれていた。
あれから養子の話は二度と出ていない。義母は息子の前では、すっかり大人しくなった。
子どもの人生を勝手に動かそうとした提案が、当の本人にきっぱり退けられた一件だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














