「ごめん。借金が返せなくなった」480万の借金を明かした夫。だが、直前まで旅行していた感覚に絶句
給料日にはじまる、いつもの押し問答
毎月の給料日、夫に封筒を渡すのが私の役目でした。中身は小遣いの3万です。
「小遣い3万で、生活できるかよ」
受け取るなり、夫はいつもそう吐き捨てました。
「同じくらい稼いでる奴らは、もっと自由に使ってるぞ」
四十代の夫の収入は、同年代と比べて特別低いわけではありません。息子が二人いれば、残るお金などたかが知れているだけの話です。
それを説明しても、夫の耳には入りませんでした。
3万はいつも数日で消えます。行き先はギャンブルでした。
負けた日は、玄関の音でわかります。
靴を放るように脱ぎ、返事もせずに風呂場へ直行するのです。
足りなくなれば、飲み会代も釣りの経費も家計から引かれます。
それでも夫は、自分が我慢している側だと信じて疑わなかったのです。
「三か月に一回は旅行しないと、やってられないんだよ」
近場でいい、と夫は繰り返しました。
断れば一週間は不機嫌が続くので、私は毎回うなずいてきたのです。
先月の旅行でも、夫は誰よりはしゃいでいました。
息子たちを肩車して、宿の風呂で歌まで歌って。土産物屋では値段も見ずに、息子たちが手に取ったものを次々とかごへ入れていったのです。
「来年も、絶対来ような」
そう言って笑う夫を、私は写真に収めていました。
天秤に乗っていなかったもの
異変は、帰宅した翌日の夜に来ました。夫が缶を片手に、テーブルの向かいに座ったのです。
「ごめん。借金が返せなくなった」
手が止まりました。金額を聞くと、夫はしばらく黙ってから答えました。
「480万」
私は声が出ませんでした。全部ギャンブルだと、夫は他人事のように言い添えます。
「先月にはもう、どうにもならなくなってた」
先月。つまり、あの旅行のときには、480万が確定していたということです。
「知ってて、旅行に行ったの」
「行かなきゃ、余計に苦しくなるだろ」
その一言で、私は自分の顔から血の気が引くのがわかりました。
この人は反省しているのではありません。旅行は自分に必要な経費だと、本気で思っているのです。
スマホの写真を開くと、川辺で息子を肩車する夫が笑っていました。480万を抱えたまま、一点の迷いもない顔で。
「返すのが先じゃないの」
そう言った私を、夫は不思議そうに見返しました。何を怒られているのか、本当にわかっていない目でした。
借金の額そのものより、その目のほうが恐ろしかったのです。背筋が凍りついたまま、私はその夜、一睡もできませんでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














