「1万円は私が負担してるの」遠距離恋愛の彼と会った時の食費を負担していた彼女。だが、彼がレシートを見てやっと話せた本音
まな板の前に立つのはいつも私
恋人が住んでいるのは、電車で3時間ほど離れた街です。会えるのは長い休みが取れたときだけで、そのたびに私の部屋へ3日から7日ほど泊まっていきます。
その間の食事は、朝も昼も夜も、3食とも私が作りました。
買い出しは滞在の前日と、途中でもう一度。
7日ぶんの食材費は、しめて1万円ほどになります。
「ごちそうさま。味噌汁、また濃くなってる」
「文句を言う人には作りません」
そういう軽口が言える相手でした。
野菜を切るのも皿を洗うのも、頼めば手を出してくれます。
きれいに半分になる会計
ひっかかるのは、外へ食べに行った日でした。
会計のたび、恋人は当たり前のように財布から五千円札を抜きます。
二人で1万円なら、5000円ずつ。きれいに半分です。
(家では、私の財布しか開いてないのにな)
口には出しませんでした。逆の立場なら、私は今日は払うねと言うだろうな、とも考えて、それも飲み込みます。
私が細かすぎるだけかもしれない。そう片づけたほうが、その場は静かに終わりました。
レシートを裏返した5日目の夜
切り出したのは、恋人のほうでした。
滞在5日目の夜、テーブルの端に置いたままのレシートを手に取って、じっと見ています。
「これ、今日の買い物?」
「うん」
「俺が来てる間、ずっとこれだけ買ってるの?」
数字を目で追ったまま、恋人が言いました。
「7日いたら1万円くらいかな。光熱水費も上がるしね」
レシートがテーブルに戻ります。そこでようやく、ずっと胸に置いていた言葉が出ました。
「外食のときは、いつも5000円ずつ出すでしょう」
「うん」
「1万円は私が負担してるの」
恋人はしばらく黙って、それから頭を下げました。
「気づいてなかった。作ってくれるのが嬉しくて、そこで止まってた」
責める言葉にならなかったのは、こちらも同じでした。二人で決めたのは、買い出しの金額は先に折半して、外食は今までどおりにすること。ただそれだけです。
次の滞在の初日、恋人は駅からまっすぐスーパーへ寄ってきました。
「重いから先に持ってきた。牛乳とトイレットペーパーも入ってる」
「気が利くじゃない」
袋を受け取ると、思っていたより腕にずしりときました。
この重さを毎回ひとりで運んでいたのだと、渡されて初めて分かった夜でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














